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術中迅速診断
術中迅速診断は病理医が行う重要な任務です
。手術中に取り出されて病変組織を、5〜1
0分程度の時間で、患者さんが眠っている時
間に組織診断します。手術前に、生検し難い
難しい事情のある部位などの、手術切除の場
合にも行われるものです。病変が良性か、悪
性か、悪性度はどの程度か、浸潤の有無、程
度、腫瘍は原発か、転移か、手術切除の必要
性、手術切除断端や所属リンパ節への腫瘍の
進展の有無、などの重要な判定のための情報
提供をします。
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これにより手術方針、切り取る範囲も決定してゆきます。診断の結果次第では、手術を断念する事もあり
ます。術中迅速診断は高い正診率(精度)が求められます。正診率は医療施設によりばらつきがあります。
細胞診断
組織診断は生検、手術材料の組織標本を利用した顕微鏡診断です。一方、細胞診断は細胞個々のレベルで
病変の質を判断する病理診断です。細胞診断には剥離細胞診(喀痰、鼻汁、尿)、擦過細胞診(子宮頸部の
綿棒による擦過、内視鏡などの機器を利用した子宮内膜や気管支粘膜からのブラッシング擦過により得られ
た細胞を調べる)、穿刺吸引細胞診(胸水、腹水などの体腔液、脳脊髄液や嚢胞液の穿刺液、乳腺や甲状腺、
骨髄などから注射針で穿刺吸引された細胞を調べる)、捺印細胞診(生検標本の捺印塗抹材料を対象とする)
などがあります。近年では生検に比べ、穿刺吸引細胞診は(局所麻酔、皮膚切開、止血操作などを必要とする
生検よりも、)手軽に出来、充分精度が高いといわれ、普及しています。穿刺吸引細胞診が陽性で、臨床的に
矛盾しなければ生検の迅速診断を行わずに手術などの治療を進めることができます。穿刺吸引された細胞の
標本は、その取り扱い方が極めて重要になります。標本は診断のより所になります。ちなみに子宮頸部の擦過
細胞診の正診率は99%以上といわれております。細胞診断は一般的に、スクリーニング検査として機能して
おり、細胞診断で異常があれば、可能な限り、生検による組織細部診断が追加されます。生検標本が取れない、
危険なケースなどでは細胞診断が最終診断になり得ます。
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