絨毛癌(絨毛ガン)・症状・診断・療法

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絨毛癌・症状・診断・療法・寛解・妊娠



     
§1 絨毛癌(絨毛ガン)御参考に絨毛性疾患の臨床分類としての絨毛癌の位置付けもご覧下さい


     嚢胞が子宮の壁である子宮筋層にまで入り込み、増殖する侵入胞状奇胎という全奇胎の10〜20%を占める状況

     になりますと、絨毛癌になる率が高くなります。



     胎盤は絨毛という小さな組織の集まりです。絨毛癌はこの絨毛から発生した癌で多くの場合は妊娠の後で出来る

     妊娠性絨毛癌です。他には妊娠に関係なく発生する非妊娠性絨毛癌もありますが極めてまれです。絨毛癌は絨毛

     細胞からなる悪性腫瘍です。従来は妊娠性絨毛癌の多くは胞状奇胎の後に起こりましたが、最近は正常妊娠の後

     で起こる率が高まっております。胞状奇胎は最近は少なくなり、胞状奇胎後の娩出後管理も厳重化されたため

     絨毛癌は激減しております。妊娠性絨毛癌のほぼ半数は胞状奇胎の娩出後に発症します。残りの半数は正期産後

     (20%)人工妊娠中絶後(15%)、自然流産後(10%)に発症します。一方非妊娠性のものは胚細胞腫瘍の構成

     する要素であるもの(卵巣や.の絨毛癌)と、非胚細胞腫瘍の異分化(肺、胃、大腸などの絨毛癌)によって発現

     するケースとがあります。






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     §2 絨毛癌(絨毛ガン)の症状


     絨毛は血管の豊富なところであるため、殆ど例外なく不正.出血がみられます。出血は持続性のものや間欠性

     のものもあります。大出血によるショック症状を引き起こす例もあります。




この様に血管が豊富のところでは血行性転移

が起こり易く、早い段階から転移も起こしま

す。転移先は肺が多くそのために、胸痛、咳

、血痰が見られる事もあります。他に転移し

易い部位としましては膣、.、肝臓、腎臓

などがあり、つわり症状が確認される場合も

あります。

           -子宮周辺隣接臓器-






     §3 絨毛癌(絨毛ガン)の診断


     絨毛癌の診断は摘出物の病理組織検査により行われます。病理学的診断が困難なケースでは絨毛癌診断スコア

     使用して侵入奇胎、絨毛癌の鑑別診断が行われます。胞状奇胎娩出後を除き、絨毛癌の診断は非常に困難とされて

     おり、更に絨毛癌は胞状奇胎娩出後6ヶ月以上経過してから発症すためより困難な状況となる。そのため、正期産

     、自然流産、中絶などの後、不正.出血が継続する場合や、基礎体温の不整がある場合は絨毛癌を考慮に入れた

     対処が求められる事になります。その場合は尿中hcgの測定をし、陽性ならばその可能性が高くなります。

     絨毛癌の癌細胞は大量の人絨毛ゴナドトロピンを分泌します。妊娠の診断にも利用されますが、絨毛癌では妊娠時

     に比べて、大量に作られるために、区別がつく為、血液や尿を調べて確認します。又、超音波検査MRI検査、CT

     検査や骨盤動脈造影が行われる事もあります。




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     §4 絨毛癌(絨毛ガン)診断スコア(合計スコアが4点以下/臨床的侵入奇胎or転移性奇胎と診断
                 合計スコアが5点以上/臨床的合計絨毛癌と診断)


スコア
先行妊娠*1 胎状奇胎 - - 流産 - 満期産
潜伏期*2 〜6ヶ月 - - - 6ヶ月〜3年 3年〜
原発病巣 子宮体部
子宮傍結合組織
- - 卵管
卵巣
子宮頸部 骨盤外
転移部位 なし・肺
骨盤内
- - - - 骨盤外
肺を除く
肺転移巣 直径 〜20mm - - 20〜30o - 30o〜
大小不同性*3 なし - - - あり -
個数 〜20個 - - - - 20個〜
尿中hcg値 〜1000000mlU/mL 10x6乗〜7乗 - 10x7乗 - -
BBT*4 不規則・1相性 - - - - 2相性
(月経周期) (不規則) - - - - 整調
絨毛癌の可能性 0〜50% 〜60% 〜70% 〜80% 〜90% 〜100%
                                             by 日本産婦人科学会・日本病理学会
     *1 直前の妊娠とする。
     *2 先行妊娠の終了から診断までの期間とする。
     *3 肺陰影の大小に直径1cm以上の差がある場合に大小不同とする。
     *4 先行妊娠の終了から診断までの期間に少なくとも数ヶ月以上続いてBBTが2相性示すか、あるいは規則正しく
       月経が発来する場合に整調とする。なお、整調でなくともこの間に血中hcg値がカットオフ値以下である事が数回
       にわたって確認されれば5点を与える




     §5 絨毛癌(絨毛ガン)の療法


     癌が子宮に留まっていることが確認できれば単純子宮全摘出術を行い、妊娠を望まれる場合には極初期の場合は、

     抗癌剤による多剤併用療法を採用する事もあります。既に転移している場合も化学療法になります。主な化学療法は

     MAC療法MA療法EMA/CO療法MEA療法などがあります。化学療法は術前に施して小さくしてから

     手術する場合もあります。




     §6 寛解/絨毛癌(絨毛ガン)


     侵入奇胎や絨毛癌での寛解は基準がありますが、化学療法施行後で基準値に達した後何コースの化学療法を行う

     かの基準が寛解基準とよばれております。絨毛癌の場合では追加の化学療法を5コース行っても細胞効果が認め

     られなければ寛解と判断されます。





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     §7 妊娠/絨毛癌(絨毛ガン)


     胞状奇胎娩出後の妊娠は、hcgが順調に低下し、基準値に達したら妊娠可能とされることが多いが、妊娠反応が

     陽性になった時、続発性疾患の発症と鑑別する必要性があるため胎児が認められるまでは超音波検査で、厳重な

     管理下での観察が必要になります。化学療法後の妊娠では寛解基準に達した後、6ヶ月〜1年程度の経過後に

     妊娠許可が与えられます。このあたりを経過後でなければ胎児(妊娠、分娩、出産)の安全確認が成されない。










     * 骨盤動脈造影/骨盤の動脈に造影剤を入れ、絨毛癌の周囲に造影剤が集まる事により陰影確認ができます。

     現在は必須の検査ではありません。




     * 細胞効果/hcg値が基準値を示していても化学療法を施行する事によって一時的に上昇する事が有りますが、

     これを細胞効果と呼び、少量の癌細胞の生存を意味するものと考えられております。





     * 絨毛性疾患/絨毛性疾患にはT胞状奇胎A全胞状奇胎or全奇胎@非侵入全奇胎A侵入全奇胎、B部分胞状奇胎

     or部分奇胎
@非侵入部分奇胎A侵入部分奇胎)とU絨毛癌A妊娠性絨毛癌@子宮絨毛癌A子宮外絨毛癌B胎盤

     内絨毛癌、
B非妊娠性絨毛癌@胚細胞性絨毛癌A他癌の分化異常)Vplacental site trophoblastic tumor

     W存続絨毛症A奇胎後hcg存続症、B臨床的侵入奇胎or転移性奇胎、C臨床的絨毛癌があります。




     * 胞状奇胎/絨毛組織が異常に増殖して、液体を含む嚢胞という粒状の組織に変化するもの。この胞状奇胎から

     嚢胞が子宮の壁である子宮筋層にまで入り込み、増殖する侵入胞状奇胎という全奇胎の10〜20%を占める

     状況になりますと、絨毛癌になる確率が高くなります。





     * 侵入奇胎/胞状奇胎が筋層内に侵入しているものを侵入奇胎と言う。全奇胎の10〜20%の比率である。







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