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§4−1
肺門型肺癌 |
肺の入口にできる代表的肺門型肺癌である扁平上皮癌は喫煙との関係が深く、早期
から咳や痰が出易く血痰もしばしば確認されます。癌特有の症状ではないが、風邪
だと思って侮ると、問題は大きくなる。2週間以上続く、風邪の治療をしても治ら
ないなどの時は癌の可能性も考慮する必要がある。進行すれば気管支内腔が狭くな
りゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴があらわれる。気管支より先の部位に空気が
出入りし難くなり、肺の中の空気量が減ることにより肺がつぶれた状態になる無気
肺や、空気の循環が悪くなるためにウィルスや細菌の感染症をも起こし易くなり、
閉塞性肺炎を起こす事もある。閉塞性肺炎では咳、痰、発熱、息苦しさ、胸痛など
の症状を伴う。閉塞範囲が広ければ呼吸困難も起こします。気管に発生して気管の
内腔に発育する低悪性度腫瘍もある。早期発見なら治癒する可能性が高いが、癌が
大きくなると気管の内腔が狭くなり、気管支喘息と類似の症状を示します。低悪性
度腫瘍といっても治療が遅れると浸潤転移を起こして、治癒は望めない。
* 肺門・肺野型肺癌模式図も御参考にご覧下さい
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§4−2
肺野型肺癌 |
初期症状が希薄で周囲の組織に浸潤、転移などから症状が現れて分かる場合があり
、症状が出た段階ではかなり進行している。定期健診で発見したい。
* 肺門・肺野型肺癌模式図も御参考にご覧下さい
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§4−3
周囲組織への浸潤 |
浸潤した箇所が疼痛を起こす。肋骨・神経に浸潤すると胸痛、食道に浸潤すると食
道の圧迫から食物が飲み込み難くなり、声帯に関係した部位に浸潤すれば嗄声、上
大静脈に浸潤すれば上半身からの血流の戻りが悪くなるために、顔、首、乳房など
がむくみ、皮膚の色が悪くなり、息切れ、頭痛、めまい、眠気などを自覚し横にな
る事により症状は強くなる(上大静脈症候群)。胸水が溜まったり、心臓と心臓を
包む膜に液体がたまる心嚢水では肺や心臓を圧迫するため息切れ、動悸、不整脈を
起こす。肺癌が首の神経に浸潤してまぶたが下がり、瞳孔が縮瞳したり、目がくぼ
む、顔半分が発汗し難くなるホルネル症候群や肺上端に肺癌が発生して腕を動かす
神経に浸潤する事により腕の痛み、麻痺、筋力の衰えなどが生じるパンコースト症
候群などを起こす事がある。ホルネル、パンコースト症候群を合併する事もありま
す。
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§4−4
転移症状 |
肺癌は早期から転移し易いが転移先の症状から肺癌が発見される事もある。
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§4−4−1
リンパ節転移 |
肺門部リンパ節に転移すると咳、気管前リンパ節に転移すると上大静脈が圧迫され
上大静脈症候群、左側気管気管支リンパ節に転移すれば嗄声をおこします。
* 肺周辺リンパ節の概要も御参考にご覧下さい。
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§4−4−2
骨転移 |
転移場所に疼痛を起こしたり骨折する事もあります。
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§4−4−3
脳転移 |
転移が原因で脳にむくみを生じると頭蓋内圧が亢進し頭痛、吐き気を、また運動中
枢関係に転移すれば手足の麻痺を、小脳に転移すれば平衡感覚が保てず、フラツキ
を起こしたりします。
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§4−4−4
肝転移 |
全身がだるくなる、あるいは胆管が閉塞されれば黄疸も起こします
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§4−4−5
副腎転移 |
副腎は多くのホルモンを分泌する中枢器管であり副腎に転移する事により副腎皮質
ホルモンが過剰に分泌されればクッシング症候群を、副腎の両側に転移すると副腎
皮質ホルモンの不足から悪心、嘔吐、腹痛、低血圧、ショック症状などの副腎クリ
ーゼを起こします。
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§4−5
その他 |
肺癌の進行に伴い異常なホルモンの分泌、食欲不振、手足の指先が太鼓のばちのよ
うに太くなるばち状指、手足の関節の腫れや痛み、筋力の低下など肺癌の浸潤、転
移との関係では因果は明確ではないがこの様な症状も確認される。
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