食道癌(食道ガン・食道がん)・症状・検査・療法

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食道癌(食道ガン・食道がん)・発生部位・症状・検査・療法・類似疾患



     
概要/食道癌(食道ガン・食道がん)


     食道癌の最大の原因は喫煙と飲酒とされておりますが、この習慣が両方ある場合には食道癌の発症率は極め

     て高くなります。熱い飲食物による熱の刺激、野菜不足、低栄養、ヒトパピローマウィルスの感染などの関与も

     指摘されております。    又、逆流性食道炎バレット食道アカラシアもリスクファクターとして上げられて

     おります。この様なケースの場合には、食道癌だけではなく、咽頭、喉頭、胃、口腔など他の臓器や器管にも癌

     が発生することは少なく有りません。    食道癌は周囲に広がり易い癌で、腫瘍が成長し、食道の壁を突き

     抜けて、隣接する臓器や器管(肺、心臓、大血管、神経)などに浸潤します。又、食道にはリンパ管が多く走って

     おり、比較的早い段階で腫瘍はリンパ節に転移します。食道の内側の粘膜に飛び石状に転移することもあります

     (スキップ転移)。癌細胞は血流に乗り、肺や肝臓、骨などにも転移します。食道癌は再発し易い癌です。手術

     適応でも、再発率は30〜50%と報告されており、化学放射線療法でも手術と同等の再発率と考えられており

     ます。化学放射線療法で再発した場合の治療方法はまだよく分かっておりません。腫瘍の状態を確認しながら

     慎重に方向性の検討がされます(食道を完全に切除する事は難しく、合併症も重くなる)。化学放射線療法後に、

     遠隔転移した場合には化学療法が中心になります。手術後の再発では症状を和らげる為に、化学療法や放射線

     療法、化学放射線療法を行います。食道癌になる危険因子としては、上に上げた以外にも、もともと、お酒が

     飲めないのに、訓練して飲めるようになったという様な人は危険とされております。また、アルコールの場合

     には、飲む量や、度数も問題になります。野菜以外にも、果物の摂取不足も指摘されております。



     
* 呼吸リハビリ;全身麻酔の影響、開胸、開腹の影響で呼吸機能が、一時的にかなり落ちる事が有ります。手術

     後は痰が増えやすく、それをうまく出せずに肺の中で詰まってしまい、空気が入り難くなる事が有ります。肺は酸

     素を取り込み、二酸化炭素を出す働きがありますが、空気が入らなければその働きが出来ません。術後合併症

     を防ぐにはまず禁煙をします。 手術の2ヶ月以上前から禁煙すると、術後の呼吸の合併症がかなり減るというデ

     ータもあります。 次いで重要なものに腹式呼吸(深呼吸)の練習があります。術後は肺活量が落ちるため、術前

     に(余裕のあるうちに)深呼吸の練習をしておきます。次は痰を出す練習をします。開鏡、開腹後は咳がしづらい

     ため、普通に咳が出来ません。 咳が出来なければ痰を出せません。そこで、痛みを抑えながら痰を出す練習を

     します。術後寝たきりにならない事も肺炎にならない為には重要です。寝た状態よりも、起き上がった状態のほう

     が肺にとって有利です。身体を起こす事は極めて大切な事です。





     
§1 食道癌(食道ガン・食道がん))


     食道は喉ぼとけ下の輪状軟骨下部から胃の噴門に至るまでの管状の臓器で、食物を蠕動運動により胃に運ぶ器管

     です。食道は後縦隔という気管の裏側を通り心臓の裏側から大動脈に沿って腹部に下降しています。食道は粘膜、

     粘膜筋板、粘膜下層、輪筋層、縦筋層、外膜からなります(食道の構造模式図と食道癌の進行度をご覧下さい)。

              -食道粘膜組織像-
食道の悪性腫瘍は殆ど扁平上皮癌といえ

ますが、それは食道の悪性腫瘍の殆どが

粘膜の扁平上皮から発生するためです。

食道粘膜組織像をご覧下さい)食道粘

膜には通常の臓器に有るような筋層を漿膜

組織が覆っておらず、食道癌は血管やリン

パ管の集まる粘膜下層へ浸潤し、血管や

リンパ管を通して転移もし易いために注

意が必要です(早い時期からリンパ節に

転移を起こし易い)。食道癌は圧倒的に

男性に多い癌で、好発年齢も50〜70歳

代です。(ピークは60歳代)


食道癌は広い範囲のリンパ節転移や、食道内のスキップ転移を起こしやすく再発のし易い癌とされます。食道癌

の場合はそれだけでなく、主な食道癌の原因が継続的な飲酒や喫煙であり、これらにより、患者の食道の組織は

癌化し易い状況にあります。それが食道癌の二次癌を発生し易い要因になっております。







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§2 食道癌(食道ガン・食道がん)の頻発部位


           -食道周辺構造模式図-
食道癌はその発生部位により、頸部食道、

胸部食道、腹部食道で分ける事が出来ます

が、胸部中部食道の発生頻度が一番高く全

体の55%を占めております。(右図をご

覧下さい)食道癌は予後の悪い癌ですが、

近年では早期に発見されるようになり、術

後生存率も向上傾向にあります。







     
§3 食道癌(食道ガン・食道がん))の症状


     
食道癌の症状は早期は殆ど自覚しません。食道癌は食物などが通る時に普段なら感じない何か、を口と胃の間で

     感じるようになります。代表的な症状は軽いつかえ感、しみる、胸が痛む、胸焼けがするなどです。その中で

     最も注意を要するのはつかえ感です。腫瘍が内腔に腫れてくるに従い食物が通り難くなるのは道理ですが、飲み物

     はすんなり通っても固形物は通り難くなります。その固形物も良く噛んでも徐々に通り難くなり、つかえ感は

     強く感じるようになります。場合によってはつかえたものを吐き出したり、柔らかなものでも水などで流し込んで

     食べなければならなくなり、更に進行してしまいますと、ついには何も通らず唾液さえも吐き出すようになって

     しまいます。つかえ感がイコール食道癌とは言い切れませんし、つかえ感と癌の進行度が比例するということも

     又、言えません。しみる感は酸味の強い飲み物や果物、刺激の強いものなど刺激を与えるものに反応します。

     胸骨の裏側辺りなどにもしみる感を感じる事や軽い痛みを感じる事もあります。




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§4 食道癌(食道ガン・食道がん)の検査


     基本的には問診の後、血液検査、尿検査、心電図、X線検査などで、全身疾患や臓器に障害などの異常が無いかを

     調べます。

その後に以下の検査を実施します。(検査、診

断は嚥下困難が食道癌によるものか、アカラシ

や逆流性食道炎などの疾患による、狭窄症状

であるかを鑑別しなければなりません。頸部リ

ンパ節腫脹や嗄声を訴える患者に付いては、頭

頸部病変の精査や食道癌病変の精査も必要です

。通常検査は食道透視、食道胃内視鏡、食道色

素内視鏡、超音波内視鏡、気管支鏡、頭部・腹

部体外超音波検査、CT、MRIなどで、特殊

な検査では、PET、超音波気管支鏡、血管内

超音波検査、骨シンチグラフィなどがあります。)






     
§4−1 X線造影検査/食道癌(食道ガン・食道がん)


     造影剤(バリウム)を飲み、食道の状態を確認します。






     
§4−2 内視鏡検査/食道癌(食道ガン・食道がん)


     ファイバースコープで食道や胃粘膜を観察します。染色法(色素散布法)により、食道粘膜の病変部を色素で

     染色する事により表在癌などの微細な病変も診断できます。その上で病変部を生検(組織サンプリング)し、

     顕微鏡で観察して確定します。色素内視鏡検査ではルゴール散布法で、正常粘膜が褐色に染色され、異形成や

     癌は不染帯として残り、癌が特定できます。トルイジンブルー染色では、潰瘍部分が青色に染色されます。病変

     のスクリーニングに使用され、早期癌、多発性の癌の鑑別に不可欠な検査です。不染帯の生検組織検査を実施

     します。食道壁内転移、食道多発病巣の有無も検査します。






     
§4−3 CT/食道癌(食道ガン・食道がん)


     食道と周辺臓器を調べ、食道癌が他臓器に転移をしていないかの確認もします。






     
§4−4 超音波検査/食道癌(食道ガン・食道がん)


     他臓器(肝臓、胆道、膵臓、腹腔内、頸部リンパ節など)への転移の有無の確認をします。






     
§4−5 気管支内視鏡/食道癌(食道ガン・食道がん)


     CT検査の結果、気道系への食道癌の浸潤が疑われる場合には、気管支内視鏡による気管、気管支の検査を実施

     します。






     
§4−6 食道超音波内視鏡/食道癌(食道ガン・食道がん)


     内視鏡の先端より発信される超音波により、表在癌などの浸潤の深さを観察し、リンパ節転移の様子などを確認

     します。治療方針決定に参考になります。




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§5 食道癌(食道ガン・食道がん)の進行度分類&例


       -表在癌と進行癌-        -食道の構造模式図&食道癌の進行度-

     
食道癌が粘膜下層までに留まっているものを表在癌、粘膜下層を超えて筋層に達しているものは進行癌といい

     ます。表在癌でリンパ節転移が認められなければ食道早期癌となります。食道癌の進行癌は隆起型、潰瘍限局

     型、潰瘍浸潤型、瀰漫浸潤型に分類できます。







     
§6 療法/食道癌(食道ガン・食道がん)


     食道癌がどのような状況であるのか、浸潤の状況はどうか、遠隔転移をしているのか、どの臓器に遠隔転移して

     いるのかなど様々な状況にあるわけですが、気管や気管支、大動脈への直接浸潤、肝臓などへの遠隔転移では

     手術が第一選択にはなりません。心臓、肺、肝臓、腎臓などの臓器が弱っているような場合には、大手術に耐え

     られませんから、身体に負担の少ない方法を選択しなければなりません。日本では今まで殆どの食道癌に対して

     手術を適用してきましたが、近年の研究で、化学療法と放射線療法の併用療法の有効性が明らかになってきまし

     た。癌が食道の周りの器管や臓器に浸潤している局所進行癌の場合には、大きな手術を行っても、完治する可能

     性はあまり高くなく、その故に、化学放射線療法は選択肢の一つとなっております。食道癌が進行しますと、腫瘍

     により食道内が閉塞したり放射線療法の影響で、食道の内部が狭窄する事が有りますが、その様な場合には、バ

     イパス手術、ステント術、放射線治療、レーザー治療などが、検討されます。


     * 参考資料

     食道癌(食道ガン)の外科手術は世界でも最高レベルにあるとされますが、食道周囲には重要な血管や神経、

     気管、心臓、肺などがあり、難易度の高い手術です。従い侵襲度も大きく術後の患者さんのダメージも大きい

     ものがあります。中でも胸部の手術は肋骨を切り、胸を広げ、胸壁を壊す場合もあり、術後の患者さんに、痛み

     が残り、呼吸機能の低下、感染症などの合併症にも十分留意しなければなりません。


     近年、この食道癌(食道ガン)の手術を胸腔鏡と腹腔鏡手術の併用により、術後の痛みや、感染症の危険を減ら

     すことが可能になってきたとされる報告があります。入院期間も大幅に短縮されるなどのメリットがある反面、課題

     も残されているとされます。それは高い技術レベルが必要であり、技術の習得に時間がかかることや、食道ガン

     (食道癌)自体が、胃がんなどと比較しても手術件数が少ないため、経験を積むことにも時間が必要になるなど

     です。手術自体は患部にカメラを近づけ、拡大画像をモニター画面で確認しながら行うため、神経など避けるべき

     部位を肉眼で確認しながらできるため、開胸手術より精度が高いと紹介されています。





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§6−1 手術療法/食道癌(食道ガン・食道がん)


     食道癌がどの位置にどの様に出来たかにより、切除の範囲の決定をし、食道臓器の再建(代用消化管)や、ルート

     の決定(再建経路)、吻合はどの位置で行うかなどが決定されます。
          -食道癌再建経路例-
胸部の食道癌が最も頻度が高いことは申し

上げましたが、その再建手術例がここに図

示されております。これは再建経路の3例

になりますが、定型的な手術として縦隔内

の食道癌の病巣を確認して、広く食道を切

除し、周囲のリンパ節を郭清します。胃の

噴門と周囲リンパ節を取り去り、残った胃

を食道の代替として使う事になります。こ

の際、胃が他の手術で既に無いのであれば

、大腸、小腸が代替臓器として使用される

事になります。


この胃管や腸管をもともとの胃の通っていた部分(後縦隔)に通して頸部を引き上げ、頸部を吻合し、最後に小腸の

中に手術後のために腸ロウという細いチューブを入れて手術は終了します。細部の説明は省略しておりますが、

これが定型手術の概要になります。(後縦隔経路例)

     早期食道癌で表在癌の深達度や、リンパ節転移の有無などの程度により手術は局所でも可能な状況もあります。

     この場合は大掛かりに開胸術をせずに、頸部や腹部を切開し、その範囲で手術を行う縮小手術で食道を引き抜き、

     腹部から胃管を引き上げて吻合する食道抜去手術や、内視鏡下手術(食道内腔側からの病巣切除やレーザー光で

     焼き切るなど)も可能になっております。
           -EMR模式図-
腫瘍が浅く、粘膜筋板に達していない場合は

、内視鏡的粘膜切除術(EMR)の適応もあ

ります。内視鏡で取れる癌の大きさや数には

限度があります。更に、癌がリンパ節に転移

していない事、食道全周性ではなく、 2/3

以下である事も適応の条件です。また、患者

さんが手術を望まれない場合や、全身状態が

手術に耐えられない場合などにも内視鏡的粘

膜切除術を適応する事があります。食道癌の

手術後は全身の状態を、慎重にチェックして

行くことになりますが、特に肺合併症に注意

が必要になります。









無気肺、肺炎などの危険があり、術前から呼吸

機能訓練を通して痰の排出がスムースに出来る

ように練習もします。縫合不全もあります。こ

れは縫合した部位が確実についているか否かの

確認をし、水、流動食などを摂取し始める事に

なりますが、吻合部位に漏れがあれば摂食など

は当然、不可能になります。その場合は一定期

間絶食し、縫合部位の治癒を待ちます。摂食不

可能な期間、充分摂食が出来ない期間は、点滴

による栄養摂取では不十分ですので、中心静脈

栄養、経腸栄養による高カロリー輸液(IVH)注

入により、栄養を摂取します。この際、


らの経腸栄養
は縫合不全を起こした場合の有力

な栄養摂取補助法で小さな縫合不全なら絶食状

態でも、中心静脈栄養、経腸栄養のみで治癒し

ます。



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§6−2 放射線療法/食道癌(食道ガン・食道がん)


     術前照射は癌が気管、気管支、大動脈などに浸潤しているため、これをたたいて癌を縮小させてから手術する

     もので、術後照射は手術後に取り残しの癌細胞を殺すために用いられます。全身状態が悪いようでしたら、放射線

     療法は第一選択肢になります。






     
§6−3 化学療法/食道癌(食道ガン・食道がん)


     遠隔転移が認められる場合には抗癌剤を用いた治療が中心となり、放射線や手術後の療法との併用療法も選択

     されます。気管、気管支、大動脈への癌浸潤にはシスプラチンを中心とした化学療法を施療します。腫瘍が縮小

     し、根治可能な状況であれば、手術適応も考慮します。化学療法に反応しなければ、放射線療法あるいは放射線

     との併用療法の選択になります。集学的治療として化学療法ではシスプラチン+フルオロウラシルが中心です。

     欧米ではタキソールも検討されております。局所進行した食道癌の場合、完治は困難でも、化学放射線療法に

     より、平均1〜2年の延命が可能と考えられており、化学放射線療法で腫瘍が小さくなれば、手術の適応も検討

     されることもあります。ですが、腫瘍が肝臓や肺、骨に転移してしまった時には、化学療法が中心となります。

     食道癌は日本人では扁平上皮癌が多く、欧米では腺癌が多いことが分かっております。従い、欧米で治療効果が

     高い治療法が、一概に日本人に適用できるとは限りません。(日本では近年では、腺癌が増加傾向にあります。)



     * その他の多剤併用療法など/フルオロウラシルシスプラチンドセタキセル、シスプラチン+イリノテカン

     ネダプラチン(単独)、ドセタキセル(単独)、ビンデシンマイトマイシンC




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§6−4 その他の療法/食道癌(食道ガン・食道がん)


     インターフェロン、インターロイキン、分子標的治療薬などや他の治療法と併用した温熱療法(外部加温、内腔

     加温)などもあります。食道癌の場合、放射線化学療法のあとで、食道に癌が残っている場合には、再度放射線

     をかけることができないため、再発し易いという問題があります。サルベージ療法は手術や、内視鏡的粘膜切除

     術、レーザー治療を施して、対応する考え方の治療です。T期では放射線化学療法のあと、サルベージ治療とし

     て、内視鏡的粘膜切除術をし、U〜W期では放射線化学療法の後で、手術をする事が多く、治癒率も向上してい

     るとあります。但し、放射線化学療法の後で、手術をする事は、臓器の癒着が起き易く、危険性が高くなり、手術

     だけの死亡率は2%に対して、放射線化学療法の後の手術死亡率は10%程度あるという大きな問題があります。






     
§7 食道癌(食道ガン)の分類


     
§7−1 TNM分類/食道癌(食道ガン・食道がん)

T原発腫瘍
 Tx 原発腫瘍の評価が不可能
 T0 原発腫瘍を認めない
 Tis 上皮内癌
 T1 粘膜固有層または粘膜下層に浸潤する腫瘍
 T2 固有筋層に浸潤する腫瘍
 T3 外膜に浸潤する腫瘍
 T4 周囲組織に浸潤する腫瘍
 
N所属リンパ節
 Nx 所属リンパ節転移の評価が不可能
 N0 所属リンパ節転移なし
 N1 所属リンパ節転移あり 
M遠隔転移
 Mx 遠隔転移の評価が不可能
 M0 遠隔転移なし
 M1 遠隔転移あり
胸部上部食道腫瘍
 M1a 頸部リンパ節への転移
 M1b 他の遠隔転移
胸部中部食道腫瘍
 M1a 該当なし
 M1b 所属リンパ節以外の転移、又は他の遠隔転移
胸部下部食道腫瘍
 M1a 腹腔動脈周囲リンパ節への転移
 M1b 他の遠隔転移





     
§7−2 病期分類/食道癌(食道ガン・食道がん)


病期分類
0期 Tis N0 M0
T期 T1 N0 M0
UA T2 N0 M0
T3 N0 M0
UB T1 N1 M0
T2 N1 M0
V期 T3 N1 M0
T4 Nに関係なく M0
W期 T.Nに関係なく M1
 WA T.Nに関係なく M1a
 WB T.Nに関係なく M1b
                                                                 by UICC




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§8 類似疾患/食道癌(食道癌・食道がん)


     
§8−1 アカラシア/類似疾患/食道癌(食道ガン・食道がん)


     食道運動性疾患の代表です。機能性嚥下困難で類似の疾患には劇症アカラシア、瀰漫せい食道痙攣、くるみ割

     食道などがあります。原因は不明ですが、迷走神経系の異常や、食道壁に存在する筋間神経叢における抑制神経

     の障害などが考えられております。嚥下困難、口腔内への逆流、胸痛、背部痛などがあり、体重減少もあります。

     最も重要な症状は、嚥下困難でほぼ全症例に認められます。固形物が主ですが、液体でも嚥下困難を認める事が

     あります。比較的若年時(10歳代)より、長期にわたって次第に増強する(時に軽快)嚥下困難が認められます。

     吐物には胃液は含まれず、3〜8%に食道癌の合併が認められます。





     
§8−2 逆流性食道炎/類似疾患/食道癌(食道ガン・食道がん)


     胸焼け、胸痛、嚥下困難、出血などがあり、食道裂孔ヘルニアを伴う事も多い。慢性的逆流性食道炎により食道

     粘膜が円柱上皮細胞に置き換えられて状態をバレット食道潰瘍といいます。腺癌の発生率が高く、欧米では50%

     以上の食道癌が腺癌です。日本も増加傾向です。





     
§8−3 腐食性食道炎/類似疾患/食道癌(食道ガン・食道がん)


     強酸、強アルカリ、重金属塩を飲み込んで生ずる食道炎が、瘢痕性収縮により食道狭窄を来たすもので、長期

     経過例では癌発生率は高い。





     
§8−4 平滑筋腫/類似疾患/食道癌(食道ガン・食道がん)


     食道良性腫瘍では最も発生率が高いもので、粘膜下腫瘍の形態をとるので、食道癌との鑑別は比較的容易ですが、

     平滑筋肉腫との鑑別は困難です。10cmを越えるものは肉腫を疑い食道切除術が必要になるとされます。





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     * 
つかえ感/食道アカラシア、食道憩室、食道炎、食道潰瘍、精神的な症状もつかえ感として感じる事もあります。




     * 
バレット食道/扁平上皮で出来ている食道粘膜のうち、食道下部の粘膜が、胃の噴門部と同じ粘膜の円柱上皮

     と置き換わってしまう状態です。慢性の食道炎から起きるとされており、特に、食道裂孔ヘルニアや逆流性食道炎

     のある高齢者に多く確認されます。バレット食道は扁平上皮と円柱上皮の境目が極端に狭くなったり、潰瘍になり

     ます。食道腺癌の発生率が10%近くある重大な疾患です。




     * 
ニトロソアミン/アルコールに含まれるエタノールとタバコのニコチンは、ニトロソアミンの生成を促がします。

     このニトロソアミンは亜硝酸塩とアミンが結合したもので、硝酸塩は、酒の肴として摂る方もおられると思います

     が、食肉加工食品、ハム、ベーコンなどにも含まれる発癌性物質です。





     * 
ステント術(ステント挿入術)/腫瘍が食道を狭窄してしまい、食べ物が通るように空間を確保するために、

     ステントを挿入します。ステントの条件としては、食べ物が飲み込み難い、寝たきりではない、食事を自分で

     食べる意志がある、癌の部位が食道の入口ではないなどがあり、癌が遠隔転移しており、手術で癌を取りき

     れない場合、放射線や化学療法でも改善しない場合などに行われます。但し、ステント術が向くのは、食道

     の中ほどに通過障害が起こった場合で、食道の上部では異物感や、痛みが強く、食道下部では、胃の噴門

     がうまく閉まらなくなるなどの問題があります。又、ステント術は気管支を圧迫する可能性や、最初は違和感

     や痛みを感じることもあります。また、放射線照射後では、孔が開きやすく、危険です。







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