膣癌・膣ガン・症状・検査・療法

 home(癌&癌のキーワード)>menu>膣癌(膣ガン・膣がん) 膣癌(膣ガン・膣がん)

膣癌(膣ガン・膣がん)・原発性膣癌・症状・検査・療法・リンパ行性転移



     
§1 膣癌(膣ガン)


     膣から発生する癌は.癌と同じくらいの発生率で、原発性膣癌は婦人科領域でも悪性腫瘍の1〜3%程度、

     多くは転移したもので膣癌の80〜90%が転移性膣癌です。最初から膣に出来る事は極めて少ないとされま

     す。多くの場合、子宮や膀胱、.、卵巣、直腸などの癌が転移しておきます。膣癌にもヒトパピローマウィルス

     が関係していると考えられています。原発性膣癌の場合は後壁の上1/3に多く発生しますが、診断時には既に

     子宮頸部や.に病変が浸潤している場合もあります。原発性膣癌の場合には、上部1/3の部位より子宮へ

     広がっていく事がしばしばあるとされます。子宮頸部や.に病変が浸潤している場合には鑑別が難しいため、

     子宮頸癌、.癌に分類される事になります。(すなわち、膣癌が子宮頸部に浸潤したものは子宮頸癌とされ、

     .に浸潤したものは.癌とされます。)膣はリンパ管や血管が多く、リンパ管を通って骨盤内に転移したり、

     まれに血液を通って肝臓や肺に転移する事もあります。初期には自覚症状が殆ど無く、進行しますと、不正性

     器出血や、血の混じったおりものを確認する事があります。生理以外の出血や帯下以外にも、セ ス時の痛み、

     下腹部痛なども膣癌の可能性があります。






 home(癌&癌のキーワード)>menu>膣癌(膣ガン・膣がん)



     
§2 原発性膣癌(原発性膣ガン・原発性膣がん)/扁平上皮癌(浸潤が早くから起こる)


     膣ガンの発症年齢は50歳以上(60〜65歳に多い)の比較的高齢者です。膣癌には膣から発生するものとほか

     の臓器から浸潤や転移して来たものが有りますが、浸潤や転移したものの方が多く、膣から発生する原発性膣癌

     ものは女性.癌の1〜2%程度である事は上に申し上げましたが、膣から発生するものは、膣のどの部位にも

     出来ます。多くは子宮に近いところから発生します。
          -膣隣接臓器模式図-
他の臓器からの浸潤は隣接する子宮頸部、尿道

、膀胱などから、転移は子宮内膜、卵巣、卵管

などの癌により起こります。膣癌の90%以上

が扁平上皮癌で、その多くが膣上皮内腫瘍から

起こってきたものです。膣上皮内腫瘍の発生に

はヒトパピローマウィルスとの関係が深い癌と

いえます。一方転移性膣癌(膣に転移を起こす

悪性腫瘍/大腸癌が最も多い)はその大部分が腺

癌ですので、膣癌で腺癌が検出された場合は転

移性膣癌を考慮する事になります。




 
home(癌&癌のキーワード)>menu>膣癌(膣ガン・膣がん)



     
§3 膣癌(膣ガン・膣がん)のリンパ行性転移


     膣の壁は薄い上に豊富なリンパ網があるので、周囲の臓器に浸潤し易く、リンパ行性転移も早くからおこります。

     膣周囲のリンパの流れは上方では子宮頸部と同様、骨盤リンパ節に行き、下方は鼠径リンパ節に流れます。です

     ので、膣癌が膣の上部に発生すれば、子宮頸癌と同様に骨盤リンパ節に流れ、下部に発生した場合は、.癌と

     同様にその経路は鼠径リンパ節に流れます。リンパ行性転移もそれに準じた様になると考えられます。その転移率

     も5〜20%と考えられております。)




     
§4 症状/膣癌(膣ガン・膣がん)


     最も多い症状は閉経後の出血や接触出血などの不正.出血ですが、帯下も多く、尿路系に浸潤すると排尿痛や

     尿失禁が起こり、直腸に浸潤すると排便通がおこります。腫瘍が隣接臓器に広がると疼痛を訴えるケースもあります。




     §5 膣癌(膣ガン・膣がん)の検査診断


     初期病変にはコルポスコピーが有効で、細胞診でスクリーニングし、確定診断をするには組織診が必要です。膣壁

     に発生した腫瘍は視診が最も有為な方法です。膣壁の観察は膣鏡を挿入して前後壁の病変を見逃さないように回し

     ながら確認します。ゆっくりと抜きながらよく視診します。進行膣癌は内診時に触知による事もあります。




     
§6 膣上皮内腫瘍(VAIN)/膣癌(膣ガン・膣がん)


     膣上皮内腫瘍(VAIN/vaginal intraepithelial neoplasia)は前癌状態の異形成と最も初期の上皮内癌に分けられ

     ます。膣上皮内腫瘍VAINからヒトパピローマウィルスのDNAが検出されるため、膣癌もヒトパピローマウィルス

     が関与していると考えられています。

子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)と同様、VAIN

もGradeT〜GradeV(高度異形成と上皮内癌が含

まれる)に分けられております。VAINがCI

Nと異なる点は、膣にはCINの発生母地とされ

予備細胞が無いという事です。膣上皮内腫瘍(

VAIN)は子宮頸癌治療後に発生するものが約

半数を占め子宮頸癌の再発なのか、原発性膣癌が

頸癌治療後に発生したものなのか判別が難しいが

、一般的に頸癌治療後1年以上の経過で発生する

場合は原発性膣癌と考えられています。






 home(癌&癌のキーワード)>menu>膣癌(膣ガン・膣がん)



     
§7 その他の原発性膣癌(膣ガン・膣がん)


     
§7−1 悪性黒色腫/膣癌(膣ガン・膣がん)

     膣原発悪性黒色腫は膣原発悪性腫瘍の5%以下で、全悪性黒色腫の1%以下です。閉経後の日本人の女性に多く、

     目視てきには黒褐色の扁平な隆起性の病変で膣のども部位にも発生しますが、下1/3に最も多く確認されます。


     
§7−2 平滑筋腫、平滑筋肉腫/膣癌(膣ガン・膣がん)

     この両者の鑑別は容易ではありませんが、平滑筋肉腫は増殖力が強く(核分裂像が多く)また、核異型は強く発現

     し、直径も3cm以上が多いとされています。


     
§7−3 胎児性横紋筋肉腫/膣癌(膣ガン・膣がん)

     5歳以下の幼児の前膣壁に沿って発生するまれな疾患です。。ブドウ状肉腫と呼ばれるもので多数の灰赤色、半透明

     な浮腫・ブドウ状の塊が膣から.に垂れ下がってきます。発生原因の不明な疾患です。



     
§8 進行期分類/膣癌(膣ガン・膣がん)


     進行期分類にはTNM分類とFIGO(国際産婦人科連合)分類の2種類があります。FIGO分類ではU期をUa期(膣傍

     結合織浸潤)、Ub期(子宮傍結合織浸潤)と分ける事もあります。




     
§8−1 膣癌(膣ガン・膣がん)の分類規約・リンパ節


分類規約
本分類は膣の原発癌にのみ適用する。.か.外のいずれかの部位から続発摘増殖として、膣に生じた腫瘍は除外する。子宮膣部に進展し、外子宮口に達した腫瘍は子宮頸癌として分類する。組織学的確証が無ければならない。
以下はT、N、M各分類評価のための診断法である。
T分類 身体的検査、内視鏡検査と画像診断
N分類 身体的検査と画像診断
M分類 身体的検査と画像診断
所属リンパ節
膣の上部2/3の場合/骨盤リンパ節
膣の下部1/3の場合/鼠径リンパ節






     
§8−2 TNM臨床分類/膣癌(膣ガン・膣がん)


T-原発腫瘍
TNM FIGO進行期
Tx 原発腫瘍の評価が不可能
T0 原発腫瘍を認めない
Tis 0期 上皮内癌(浸潤前癌)
T1 T期 膣に限局する腫瘍
T2 U期 膣傍結合織に浸潤するが、骨盤壁に進展しない腫瘍
T3 V期 骨盤壁に進展する腫瘍
T4  Wa期 膀胱、又は直腸の粘膜に浸潤する腫瘍及び/又は小骨盤を超えて進展する腫瘍 注;胞状浮腫はT4に分類するには充分な証拠ではない。
 Wb期 遠隔転移
N-所属リンパ節
Nx 所属リンパ節転移の評価が不可能
N0 所属リンパ節転移
N1 骨盤、又は鼠径リンパ節転移
M-遠隔転移
Mx 遠隔転移の評価が不可能
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり
pTNM病理学的分類
pT、pN、pM、各分類はT、N、M各分類に準ずる
pN0と判定するには、通常、鼠径リンパ節で6個以上のリンパ節を、骨盤リンパ節郭清では10個以上のリンパ節を組織学的に検索する。

     * 膣癌の5年生存率も御参考にご覧下さい。



 home(癌&癌のキーワード)>menu>膣癌(膣ガン・膣がん)



     
§9 療法/膣癌(膣ガン・膣がん)


     
§9−1 手術療法/膣癌(膣ガン・膣がん)


     子宮に近い部位に出来たガンで早期のうちであれば子宮頸癌と同様の広汎子宮全摘出術に骨盤リンパ節の郭清、

     膣壁などの切除も加えた手術が行われます。この場合は根治の可能性もあります。直腸や膀胱に浸潤している場合

     はそれらの臓器も切除して、尿路の変更を行ったり、人工.を作ることもあります。骨盤を切除する事も有ります

     が、身体への負担が大きい上に予後が良いとはいえません。


     
§9−2 放射線療法/膣癌(膣ガン・膣がん)


     放射線療法には膣の中に腺源をいれてガンの近くから照射する腔内照射(内部照射)と転移した癌をたたく外部

     照射があり、これらの方法を単独で行ったり、手術と併用したりします。なお、手術をすると膣が小さくなります

     し、放射線療法では膣の萎縮が起こる事もあります。何れの場合にもセ スが難しくなる事があります。







     * 
予備細胞/子宮頸部の扁平上皮との境界部の円柱上皮に出現する小型の細胞のことで、この部位、予備細胞が

     癌化し子宮頸癌は発生し易い。


     * 予後(5年生存率)/T期(54%)、U期(43%)、V期(28%)、W期(12%)







      * ご覧になりたい項目の金色ボタンをクリックして下さい。ご希望のページへジャンプします。

頭頸部 脳腫瘍 上顎洞癌 舌癌 咽頭癌
喉頭癌 甲状腺癌 食道癌
胸部 肺癌 乳癌 縦隔腫瘍
腹部  胃癌 肝癌 胆嚢癌 胆管癌
膵癌 腎癌 膀胱癌 大腸癌
. .癌 膣癌 子宮頸癌 子宮体癌
子宮肉腫 卵巣癌 卵管癌 絨毛癌
前立腺癌 .腫瘍
全身性 神経芽腫 骨腫瘍 皮膚癌 多発性骨髄腫
急性白血病 慢性リンパ性白血病 悪性リンパ腫
成人T細胞白血病 慢性骨髄性白血病
その他 抗癌剤 転移・再発 疼痛緩和ケア ターミナルケア
腫瘍マーカー














 home(癌&癌のキーワード)>menu>膣癌(膣ガン・膣がん)
-癌&癌のキーワード-
(C)allright reserved