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-舌再建術例- |
病巣の部位や広がりにより治療法が異なりま
すが、舌癌が4p以内で頸部に病変が無いよ
うでしたら、放射線療法、あるいは放射線療
法と化学療法の併用療法になります。放射線
療法は白金製の針(ラジウムやセシウム含有
)を、1週間程度さしたままで組織内照射す
る事になります。2p以内の病巣である場合
は高率(80〜90%程度)で治癒し、舌も
温存した形で根治可能です。
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病巣が深部に達している状態、あるいは頸部に病変が確認できる場合などは拡大手術、切除部位の再建手術
が必要になります。舌癌の再建手術では前腕の部位を血管をつけたまま採取し、微小血管を吻合する形での移植
をします。早期舌癌であれば80%前後の治癒率があり、進行舌癌でも35〜55%程度の治癒率があります。
舌癌の予防は禁酒、禁煙が望ましく虫歯や口腔衛生に絶えず留意し、清潔が一番という事になります。 |
* 舌癌の手術をする前には、口腔ケアがとても大切になります。これは舌癌に限らず、癌の治療の前には共通
にいえる事ですが、舌癌の再建手術では前述の様に舌のかわりに他の体の一部を移植します。口の中には
多くの細菌がいます。そのため傷口が上手に閉じず化膿することがあります。患者さんの約30%が感染・傷が
開いて肺炎を発症しているという報告があります。放射線療法でも同様で舌癌の場合、放射線療法により唾液
を出す細胞が働かなくなり、口の中が乾いて虫歯が出来やすくなります。歯科衛生士のクリーニングにより唾液
中の1億〜10億個あった細菌数は1/100に激減し、顕微鏡でも殆ど確認できないくらいきれいな状態になりま
す。癌の手術を受ける前には歯周病や虫歯など口腔ケアが大切です。それにより、手術による合併症は大幅に
低下し早期退院にも繋がる大きな差がでます。歯周病は特に肺癌、腎癌、膵癌、血液癌と関係があるという報告
があります。これは歯周病が免疫・体の防御システムに影響する、もしくは歯周病に関係する菌が直接癌の発生
に影響しているかも知れないという研究報告によるものです。 |
* 追補 癌治療と口腔ケア(ご参考にご覧ください)
癌の治療をする前には、口腔内の衛生健康を保つために歯周病や歯の治療など口腔ケアがとても大切になり
ます。一般的に癌治療中は体力が極端に落ち、口内の細菌のバランスが崩れ、カビの一種のカンジタやヘルペ
スウィルスが増殖し、口内炎が発生します。手術前に口腔ケアを確実に施した場合、合併症の発生率は16%
ですが、何の手当てもせずに癌の手術に臨んだ場合には64%と大幅なデータ上の有意差が認められていると
いう報告があります。口の中を一度キレイにすると、治療中やその後も細菌感染を起こし難いという研究もされて
おり、結果的に食事の再開も早まり、早期退院にも繋がります。歯周病は特に肺癌、腎癌、膵癌、血液癌と関係
があるという報告があります。これは歯周病が免疫・体の防御システムに影響する、もしくは歯周病に関係する
菌が直接癌の発生に影響しているかも知れないという研究報告によるものです。 |