骨腫瘍・症状・検査・治療

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骨腫瘍・症状・検査・治療・悪性骨腫瘍(骨肉腫・ユーイング肉腫・軟骨肉腫・悪性線維性組織球腫)



     
§1 骨腫瘍


     
骨腫瘍には良性の骨腫瘍と悪性の骨腫瘍があります。これは骨に生じる腫瘍の総称で、骨の腫瘍類似疾患、

     続発性骨腫瘍も含まれます。そのうち、悪性骨腫瘍には骨肉腫、ユーイング肉腫、軟骨肉腫、悪性線維性

     組織球腫など種々有りますが、これらは他臓器に転移する可能性もあります。良性骨腫瘍は発生した箇所で

     成長しますが、他臓器や他の骨に転移する事が有りません。骨の腫瘍類似疾患は、腫瘍によく似た性質を

     持っているのですが、明確に腫瘍と断定できないもので、多くは良性といわれております。又、他臓器から

     骨に転移してくるもの(転移性骨腫瘍)も有りますが、これは続発性骨腫瘍の中に含まれるものです。

     悪性腫瘍の中には、非常に高悪性度で、転移もし易い腫瘍や、低悪性度で転移率の低いものまで有ります。

     低悪性度の腫瘍では、腫瘍を完全に切除する事により多くの場合は、治癒するとされますが、高悪性度の

     ものは遠隔転移を考慮に入れる必要があります。







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§2 悪性骨腫瘍


     
悪性骨腫瘍は比較的性質のおとなしい腫瘍から、極めてたちの悪い腫瘍まであり、中には早期に肺や他の骨に

     転移をして、命に関わるものまであります。各悪性腫瘍の発生頻度は下表に示す通りですが、夫々好発年齢も

     異なります。骨肉腫とユーイング肉腫の好発年齢は10〜19歳に夫々の腫瘍の発生率で50%を越える発生

     頻度を示しており、軟骨肉腫と悪性線維性球腫は、年齢を追うごとに、漸増しており、軟骨肉腫は40〜49歳、

     悪性線維性組織球腫は50〜59歳をピークにしております。(ピークは20%程度)





     
§2−1 悪性骨腫瘍の部位別発生頻度


ユーイング肉腫 骨肉腫 軟骨肉腫 悪性線維性組織球腫
上腕骨 08.5% 08.4% 09.0% 05.5%
肩甲骨 07.9% 06.1%
脊椎骨 06.6%
肋骨 05.0%
骨盤 22.0% 04.0% 22.3% 07.9%
大腿骨 15.7% 52.1% 21.9% 46.7%
頸骨 08.5% 21.8% 07.3% 18.6%
腓骨 05.2% 05.0% 02.2%
仙骨 02.8%
手骨 02.4%
その他 25.6% 08.7% 21.0% 21.3%





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§2−2 骨肉腫/悪性骨腫瘍/骨腫瘍


骨腫瘍の中で一番頻度の高いものは骨肉腫です

。しかも20歳くらいまでの青少年に多発し(

全体の約7割)、骨肉腫の中で、最も多く発生

する部位は大腿骨です。骨肉腫の中では半数以

上がこの部位に多発します。骨肉腫は骨組織そ

のものが腫瘍細胞で侵されます。骨盤や脊椎に

も発生しますが、主に長管骨と呼ばれる太くて

長い骨の骨端側に見られる傾向があり、頸骨に

も骨肉腫の薬1/5程度確認されます。


ある女性の場合、膝の痛みの増強を訴えて、X線検査の結果、膝の骨の骨膜に肥厚が確認され、生検を行った。

病理診断は傍骨性骨肉腫で、20歳以下の方に、好んで発生する悪性度の高いたちの悪い骨肉腫とは異なり、

これは悪性度が低く、骨膜から外に向かって、ゆっくり増殖し、めったに転移もしません。発生年齢は骨肉腫

と異なりやや高く、20〜30歳代に多い特殊な癌です。





     
§2−3 ユーイング肉腫/悪性骨腫瘍/骨腫瘍


     
ユーイング肉腫も20歳くらいまでに多く発生する(全体の約8割)肉腫で、男性にやや多く確認されます。

     骨盤(約1/5)、大腿骨(約1/6)に多く確認され長管骨、脊椎にもみられます。





     
§2−4 軟骨肉腫/悪性骨腫瘍/骨腫瘍


     
軟骨肉腫は骨肉腫に次いで多く発生する腫瘍で、骨盤(約1/5)、大腿骨(約1/5)、次いで上腕骨(約1/10)

     に確認されます。肩甲骨や肋骨にも生じるこの肉腫は、以前からある良性の腫瘍が悪性化して生ずる事もまれ

     に有りますので、以前からある硬い腫瘤が、大きく成長するようでしたら、早急に受診して診断を受ける必要が

     あります。





     
§2−5 悪性線維性組織球腫/悪性骨腫瘍/骨腫瘍


     
悪性線維性組織球腫は増加傾向にある腫瘍で、50歳代にピークがあります。大腿骨に発生するものが約半数

     が確認されております。頸骨にも約1/5程度確認されております。




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§3 症状/骨腫瘍


     
骨腫瘍の中でも最も多発する骨肉腫は初期症状としては、跳んだりはねたりすると、膝に痛みを感じたり、ボー

     ルを投げると方が痛くなるなどの疼痛が、始まりです。この痛みは安静にする事により、治まってきますので、

     運動による無理が原因のように思ってしまいがちです。しかしこの痛みがだんだん強く感じるようになり、安静

     にしていても痛みはとれず、患部が腫れてきたりします。進行しますと、関節は動き難くなってきますし、皮膚

     の赤み、静脈の拡張、熱感も感じることがあります。

ユーイング肉腫は痛み、腫れ以外に発熱も確認

されることがあります。軟骨肉腫は痛みのほか

、腫瘤が出来ることもあります。悪性繊維性組

織球腫は病的な骨折から、発覚する事もありま

す。(そもそも折れるはずのない様な弱い衝撃

で骨折してしまいます。)骨がはきされて弱く

なっているためです。膝や肩が痛くなる病気は

沢山あります。疼痛が必ずしも骨肉腫とは限り

ませんが、疼痛が次第に強くなるようならば、

芳しくありませんから、専門医に早急に受診す

る事が必要になります。





     
§4 検査/骨腫瘍


     
画像診断としてX線検査、CT、MRI、血管造影検査、骨シンチグラフィー、血液生化学検査などがあります。

     画像診断で確定できない場合には病理組織学的検査が行われます。腫瘍組織の一部を採取し、顕微鏡で診断

     します。腫瘍診断には性別、年齢、発生部位、症状、画像所見、病理組織像などを総合して診断します。

     骨腫瘍には様々なタイプがあり、生検による病理診断は難しく、難渋する場合があります。臨床情報や、所見、

     資料の他に病理医と整形外科医の連繋は極めて重要になります。





     
§5 治療/骨腫瘍


     
ユーイング肉腫、骨肉腫は通常、術前に化学療法を1〜2ヶ月施し、その後腫瘍に対し、手術療法を施す事に

     なります。手術は腫瘍が大きければ関節離断術などの切断術を行います。切断術を行わないまでも腫瘍切除術

     でも、骨には大きな欠損が生じます。同時に筋肉や、靭帯も切除しますので手足はかなり不自由な状態になり

     ます。

人工骨、人工関節などを欠損部分には、使用し

ます。材質はチタン製、セラミック製などです

。悪性度が高ければ、更に術後に化学療法をほ

ぼ1年程度続けます。手術が不可能な部位、腫

瘍では放射線療法も選択されます。放射線療法

は手術療法の補助療法としても選択されます。

手足の切断術後、義手や義足を装着します。義

手の場合は装飾用義手をつける事を、選択され

る方が多く、実際に使用できるような能動義手

をつける方は少ない様です。義足の場合には、

義足装着しないと、松葉杖などになりますので

、義足装着を希望される方が殆どです。術後切

断部先端の腫れが引き、皮膚が有る程度硬くし

まってきてから、義足の訓練が開始されます。

     手足を残す手術の後でも、手術の際に筋肉や靭帯を同時に切除しますので、機能が大きく低下します。膝関節の

     周囲の腫瘍では、膝関節を固定する装具が必要になる場合もあります。坐骨神経、腓骨神経の切断をした場合

     には、足関節の屈伸が出来ませんので、補装具が必要になります。骨腫瘍の治療には放射線治療、薬による治療、

     手術療法などがあります。



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§5−1 放射線治療/治療/骨腫瘍


     
骨の痛みを抑えるのに効果がある手段の一つで、疼痛を抑える効果としては70〜80%の患者さんで有効と

     されております。(半数は完全に痛みが無くなると報告されております。)

     -腫瘍が脊椎に転移した例模式図-
癌が脊椎に転移している場合も、放射線を照射する

と、脊髄が癌の塊に圧迫されて起こる麻痺を防ぐ事

もできます。骨折し易い患者さんの半数を越える方

では、照射後、骨が少しずつ硬くなり、病的な骨折

を防ぐ効果もあると考えられております。この放射

線療法は、病状の重い患者さんが、体力が無くても

受けられます。ですが以前に放射線治療を既に受け

ており、その同じ場所に放射線を照射しますと、臓

器の壊死などの後遺症が出る事が考えられる為、制

限を受ける事があります。放射線治療は体外からだ

けではなく、体内に投与する方法もあります。


骨転移に関しましては、ストロンチウムが厚生労働省より承認を得、骨転移に使用出来るようになりました。

ストロンチウムはカルシウムと性質が似ているとされ、癌患者に投与しますと、骨の転移癌の周辺に集中し、

ストロンチウムはその位置で放射線を放出して、癌細胞に打撃をあたえます。その他、甲状腺癌などの骨転移

ではヨウ素を体内投与し、甲状腺癌の細胞がヨウ素を吸収し易いという性質を利用した治療法が用いられます。





     §5−2 薬剤投与/治療/骨腫瘍


     
骨転移の治療の中心にあるのはビスホスホネート剤です。この薬剤はカルシウムに吸着し易い性質を持ち、癌が

     骨に手にすると癌細胞はは骨細胞と呼ばれる細胞(骨を吸収する細胞)を活発化させます。破骨細胞の異常な働

     きで骨の内部に生じた隙間に癌細胞が増殖し易くなりますので、骨に吸着したビスホスホネート剤も破骨細胞に

     入り込み、破骨細胞の働きを阻害します。骨の溶解を抑えるビスホスホネート剤は、痛みの緩和作用や高カルシ

     ウム血症を予防する効果もあります。前立腺癌や乳癌の骨転移に対しては、ホルモン剤を使用する事もあります。

     脊髄が圧迫されて生じる痛みには、ステロイド薬も使用されます。





     
§5−3 手術療法/治療/骨腫瘍


     
骨以外に転移が無く、発生場所の癌の増大もない場合や、急速に身体の麻痺が進行しているときや、侵された骨

     が圧迫などで骨折し易いと診断された場合などで、患者さんの体力が手術に耐えられえる場合には、手術が選択

     される時もあります。術後は人工骨や骨セメントなどで再建し、体外に補助器具を装着する事もあります。







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