膵癌(膵臓癌)・症状・検査・療法

 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)   膵癌(膵臓癌)

膵癌(膵臓癌)・症状・検査・療法・分類・転移・再発



     
概要/膵癌(膵臓癌)


     膵臓癌(膵癌)は消化液膵液の通り道である膵管に出来る膵管癌が最も多く、死亡率も高い癌です。奥深い臓器

     である膵臓から発生する、膵癌は初期には自覚症状が殆ど無く、自分の膵癌の存在を気づき難いことの多い癌

     です。検診でもめったに発見される事は少なく、初期段階から周りの臓器に浸潤し易く、離れた臓器にも転移し

     易い特徴を持つ、厄介な癌です。従いまして、発見時も癌はかなり進行した状態であり、十二指腸、胃、胆管、

     などに浸潤し、肝臓や肺などにも転移している事が少なくありません。膵臓から腹膜播腫もあります。






     
§1 膵癌(膵臓癌)


    
 膵癌(膵臓癌)膵臓の働きを担う細胞や腺、膵管に出来る悪性腫瘍ですが、膵外分泌系の膵管癌が92%と圧倒的

     に多く、膵腺癌は1%、膵内分泌細胞から発生する癌は3%です。膵管癌は管状腺癌、乳頭腺癌などが有りますが、

     その管状腺癌は83%(神経・血管・リンパ管など周囲組織浸潤性の癌で早期から広がる癌)、乳頭腺癌は9%と

     なっております。膵癌(膵臓癌)は増加傾向にある癌で喫煙は悪影響を与えると考えられていますが飲酒に付いて

     は因果は不明です。
          -膵臓周辺構造模式図-
食生活の欧米化(動物性脂肪、高蛋白食、

緑黄色野菜摂取不足)やコーヒーの多飲や

喫煙なども原因ではないかとの指摘も有り

ますがこれも明確に言い切れない状況にあ

ります。また、膵癌(膵臓癌)は早期発見

が難しい疾患で、なおかつ悪性度も高く、

更には、発見された腫瘍が良性か悪性かの

判定も難しい、発見された時には既に進行

している状況のことも多く、厳しい疾患と

いえます。膵癌(膵臓癌)が治り難いと

されるのは、この様な理由があるわけです。膵癌(膵臓癌)の5年生存率も13%程度であり、その罹患は

高齢者で高くなります。発生部位により、膵頭部癌、膵体部癌、膵尾部癌にわけられ、発生頻度は膵頭部60%、

膵体部30%、膵尾部10%と膵頭部に発生率が高い癌です。(参考図もご覧下さい

膵癌は予後不良です。5年生存率は向上は見られてはいますが、20%に満たない状況にあります。しかし、

早期発見の難しいといわれている中で、国立癌センターにおいて新たな診断法が開発されております。これは

採取血液から膵癌特有のタンパクの有無を確認する方法で、簡便であると同時に、その精度は90%以上と

いわれ、実用化が急がれます。まれに膵臓の内分泌成分(ランゲルハンス島)由来の癌(悪性膵島細胞腫瘍)

が見られ、肝臓への転移をきたします。ガストリン(胃酸分泌を刺激するホルモン)を過剰に作り出して、胃や

十二指腸に難治性の潰瘍を伴う事もあります。



    
* 膵臓癌の早期発見;ご覧頂きました様に、膵臓癌は早期発見が難しく、困難な癌ですが、大阪府立成人病セン

     ターのグループで、見逃せない報告がなされております。早期発見に関わる報告はこちらをご覧下さい。



    * 糖尿病と膵癌;膵臓癌の患者さんの半数以上に糖尿病があるとされ、糖尿病を指摘された段階で、膵臓癌の

     検査を受ける事が早期発見の糸口と薦める報告もあります。膵臓は脂肪組織に埋まり、症状が出にくいが、癌

     はすぐ外に広がり大多数は、進行した状態で発見されております。糖尿病の診断を受けたなら、医療機関に行

     き、膵臓癌の検査を受けて、確認する事も賢い選択かも知れません。







 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)



     
§2 膵癌(膵臓癌)の症状


     
膵癌(膵臓癌)の初期症状は殆ど無症状あるいは、殆ど気にならない程度のもので、胃腸の調子がちょっと悪い時

     に現れる程度のものでも有りますので早期発見も難しい癌です。(膵癌の初発症状 腹痛/38% 黄疸/16、7%

     腰背部痛/7、3% 食欲不振/7、2% 全身倦怠/4、2% 体重減少/3、9% 嘔吐/1、8% 腫瘤/1、0% 

     その他/6、9% なし/10、1% 不明/2、9%
)自覚症状の種類や程度は腫瘍の発生部位、大きさ、程度など

     により一概には言えませんが、疼痛(上腹部痛、腰背部痛、左右の季肋部痛などの持続性の痛み)は最も訴求され

     る症状で、腫瘍が大きく成長する程、痛みは顕著になります。膵癌(膵臓癌)の症状は何れも進行したときに見ら

     れる症状ですが、部位別での症状が実際にはあります。(膵頭部上部癌/黄疸;必ず出る、その前には食欲不振、

     腹痛、肝機能検査では胆道系酵素異常。 膵頭部下部癌/黄疸は現れず腹痛が主症状。 膵体部・膵尾部癌/腹痛、

     背部痛、黄疸は確認できない。)進行度によっても症状が異なりますが、黄疸は総胆管が腫瘍の浸潤に伴って

     閉塞する事により生じるもので、特に膵頭部の腫瘍の発生により高頻度に確認されます(閉塞性黄疸)。その他

     には体重の減少や、食欲不振、全身倦怠感、腹部膨満感、粘液性膵癌(膵臓癌)ならば上腹部痛も比較的認めら

     れる症状です。既往歴は糖尿病、胃潰瘍、胆石、慢性膵炎などがありますが、特に糖尿病の合併は16%と多く

     指摘されております。




 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)



     
§3 膵癌(膵臓癌)の検査


           -横から見た膵臓の位置-
膵癌(膵臓癌)は既に述べましたように

早期発見の難しい、進行の速い癌です。

この様に厳しい癌ではどんな小さなきっ

かけでも掴む必要があります。糖尿の進

行から膵癌(膵臓癌)の発見の端緒にな

ることもあり、検査の重要性は申し上げ

るまでもありません。膵臓はご覧の様に

深い位置にある臓器であり、膵癌は自覚

症状の乏しい癌で、更に男女共に、死亡

率は悪性腫瘍の中でも、高位にある増加

傾向の癌です。発見の時は、既に進行し

ている事の多い癌でもあるのです。

膵癌の診断は難しい。後腹膜に奥深く横たわっているため、生検標本を手術前に採取する事が困難な事が多く、

膵液が腹腔内に漏れ出せば腹膜炎になり、腹痛、発熱が生じる危険性もあります。膵癌の手術は大掛かりです

が、確定診断の機会は、少ないのです。そのため、判定も慎重を要する難しい癌です。






     
§3−1 血液検査


     
生化学検査ではALP、γ-GTP、LAPなど胆道系酵素が高値を示したり、黄疸が確認されるなら、膵頭部の病変を

     疑い、(膵癌進展による主膵管の狭窄や閉塞によって生ずる随伴性膵炎)ます。膵癌は耐糖能の異常が半数

     以上に見られるため、急激な糖尿病の発症の場合は、膵癌を疑う必要もある。







     
§3−2 超音波検査/膵癌(膵臓癌)


     
超音波検査は腹部にゼリーを塗り検査をするもので簡便で超音波が到達する範囲であれば、1cm程度の病変でも

     検出される場合がありますが、描出される腫瘍は、内部は低エコーを呈し辺縁、境界は不明瞭である事が多く、

     太っている人は脂肪が妨げにもなり、限界があります。膵頭部癌では腫瘍部分のエコーレベルが低く幾分黒っぽく

     なります。膵尾部癌では腫瘍は黒くみえます。脂肪の少ない人には向いている検査です。侵襲が少なく、簡便で

     安全性も高い。機器の性能向上により、診断率は向上しており、腫瘍の広がり、血管の浸潤、リンパ節転移、肝

     転移などの診断にも活用される。







     §3−3 磁気共鳴胆管膵管造影/膵癌(膵臓癌)


     
MRCP(magnetic risonance cholangio pancreato graphy)/磁気共鳴胆管膵管造影は内視鏡検査をせずに膵管造影

     に近い画像を得られる優れた検査で、閉塞部のその先の造影剤が届かない部位の画像も得られます。また、患者の

     苦痛が無いのも大きな利点です。







     §3−4 内視鏡的胆管膵管造影/膵癌(膵臓癌)


     
ERCP(endoscopic retrograde cholangio pancreato graphy)/内視鏡を十二指腸までいれ、膵管に細いチューブを

     挿入して造影剤を注入し、膵管の微細な変化をとらえます。患者には多少、苦痛のある検査ですが膵管の狭窄・

     閉塞や偏位、膵野欠損などや膵液を採取して細胞診や膵機能検査も実施可能です。熟練を要するが粘液産生膵

     腫瘍、粘液貯留による主膵管の瀰漫性拡張、乳頭口開大なども確認でる非侵襲的な検査です。





 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)




     §3−5 CT/膵癌(膵臓癌)


        -膵頭部、膵体部、膵尾部-
超音波検査ほどではないにしても、身体に

負担の少ない検査です。膵辺縁の突出や不

整、膵尾側の膵管の拡張や胆管の拡張など

が確認できる。腫瘍の浸潤が腹腔動脈、上

腸間膜動脈などの大血管に及べば、病期分

類に必須な血管周囲脂肪組織の密度の上昇

や血管の狭窄・閉塞なども確認できる。更

に膵癌(膵臓癌)に特徴的な膵周囲臓器へ

の浸潤、大血管(腹腔動脈、上間膜動脈、

門脈)への浸潤、狭窄陰影も確認される。

     CTは造影剤を使用したり放射線被曝など、超音波よりも侵襲的といえるが描出される膵臓各部位の偏差が少なく

     術者の習熟度には左右されない利点がある。







     §3−6 MRI/膵癌(膵臓癌)


     
血流が確認できるためCTでも判明しない血管病変の有無まで調べる事ができます。






     §3−7 PET/膵癌(膵臓癌)


    
 PETは高額な検査機器であり、どの医療機関にも設備されているわけでは有りませんが、不必要な手術を減らす

     ことができ、優れた医療設備です。しかし検出には限界があります。スモールサイズの腫瘍、細胞密度の低い腫瘍

     は映りにくく、炎症性の疾患であればFDGが集積するためにその部位が濃く映ることもあります。膵癌(膵臓癌)は

     難しく、厳しい癌ですから、医療関係者は慎重を期し、たとえ過剰な検査であると思われても、その他の検査を

     併用しながら、例えば膵管に拡張があるのか無いのか、など追跡検査を含めて慎重に経過観察するなどの考え方

     も求められてきます。







     §3−8 膵酵素/膵癌(膵臓癌)


     
膵管が狭窄や閉塞し膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼT<エラスターゼ-1は、膵臓から分泌される

     蛋白分解酵素の一つで、膵癌では60%で高値となり、特に早期の膵癌で陽性率が高く、早期に発見するための


膵癌の補助診断法として、期待される>、トリプシン)

が血中に回ってしまうと血清中、の各酵素が上昇する。

膵酵素の高値は一時的なものであるが膵癌(膵臓癌)が

進行して膵実質がダメージを受ける事により逆に低値を

示す事がある。血清エラスターゼTは他の膵酵素と比べ

ると陽性率が高く膵癌(膵臓癌)のスクリーニング検査

として用いられ事も多い。






     §3−9 肝機能検査/膵癌(膵臓癌)


     
胆道系酵素(ALP/アルカリホスファターゼ、LAP/ロイシンアミノペプチターゼ、γ-GTP)やビリルビンが上昇する

     場合は腫瘍が胆道に及ぶ場合も考えられます。更に閉塞性の黄疸や肝転移によりGOT(AST)、GPT(ALT)、LDH

     などの肝逸脱酵素の上昇、プロトロンビン値の低下が確認されるようになります。




     
§3−10 膵内分泌機能検査/膵癌(膵臓癌)


     
膵炎や膵癌の直接の浸潤はインスリン分泌細胞を破壊し、耐糖能異常を認めるようになります。浸潤性膵管癌の

     場合にはその70〜80%が耐糖能に異常を認めます。急激な糖尿病の発症は膵癌発見の端緒になる場合があり

     ます。膵内分泌腫瘍はホルモン過剰の症状がある場合(機能性腫瘍)と、ない場合(非機能性腫瘍)があります。

     非機能性腫瘍の場合には、2pを越えると悪性の可能性があります。



 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)



     
§3−11 腹部血管撮影/膵癌(膵臓癌)


     血管にカテーテルを通し、造影剤を注入して膵臓に分布する血管をX線撮影し、血管への浸潤の程度を詳細に検討

     できるため、手術適応の判断のために使用できます。癌の切除でき得る程度のものかの判断ができます。




     
§3−12 末梢血検査・凝固能検査/膵癌(膵臓癌)


     軽度の貧血は膵癌(膵臓癌)や慢性炎症に伴う鉄代謝異常、出血、栄養障害などの原因が考えられ、軽度の白血

     球増加は、腫瘍から分泌されるサイトカインや感染症が合併していることも考えられている。膵癌(膵臓癌)の進行

     により播種性血管内凝固症候群などの凝固能異常の合併も時に確認される為、これらの検査も重要です。





     
§3−13 腫瘍マーカー/膵癌(膵臓癌)


     
膵癌(膵臓癌)の腫瘍マーカーは診断や治療効果を判定するための経過観察でも使用されます。腫瘍マーカーは

     CEA(陽性率65%)、CA19−9(陽性率80%)がありますが、早期癌では陽性率は低いため、補助診断とされて

     おります。
その他Span-1SLXDUPAN-2α-フェトプロテインなどが用いられます。






     
§4 療法/膵癌(膵臓癌)


     
膵癌の治療の基本は、何と言っても外科的な治療ということになります。手術適応であれば、切除を行いますが、

     それは進行癌であっても、切除をしたほうが生存率が高いことが分かっているためです。しかし、膵癌は発見

     された時点で既に、進行している事が多いために、切除率は45%前後と、低い率になっているのが実態です。

     癌が膵臓内にあれば病巣部を切除しますが、膵癌は周囲に広がり易く、病巣を完全に切除するには困難を伴う

     ため、広範囲な切除が、通常はなされます。QOL向上のため、症例に応じたバイパス術や、神経叢切除術など

     の手術が行われますし、腫瘍の神経浸潤に伴う痛みに対しましては、腹腔神経節ブロックなども行われており

     ます。腫瘍による胆道閉塞に対しても、消化管バイパス術が適応となります。



     
§4−1 手術療法/膵癌(膵臓癌)


     
§4−1−1 膵頭十二指腸切除術/膵癌(膵臓癌)

        -膵頭・十二指腸切除術模式図-
膵頭部癌では膵頭部と傍臓器である胃・

十二指腸の一部や総胆管、胆嚢などを術

後の消化機能を保つために幽門輪を温存

して同時に切除する術式が一般的です。

膵癌では癌のある部位により、切除範囲

が異なりますが、膵頭・十二指腸切除術

では癌のある膵頭部を含む胆道、十二指

腸、胃の一部周辺組織を切除し、残った

膵臓を小腸につなぎます。


膵頭十二指腸切除術は膵頭部癌に対する標準の手術です。通常、膵頭部、十二指腸、胆嚢、胆管と胃の2/3を

切除し、空腸による再建が行われます。膵切除の中では最も高度な技術を要求される手術です。近年では胃の

出口である幽門部を残す温存手術を施すケースが多くなっております。



 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)




    
 §4−1−2 膵体・膵尾部切除術/膵癌(膵臓癌)


     膵頭部を残す切除術です。





     
§4−1−3 膵全摘術/膵癌(膵臓癌)


     膵臓全体と総胆管、胆嚢、胃・十二指腸の一部を切除します。術後の内分泌、外分泌機能が失われてしまいます

     ので、殆ど適応が有りません。





     
§4−1−4 手術不適応/膵癌(膵臓癌)


     切除不能の進行癌に対して疼痛緩和、消化管狭窄の処置、黄疸の治療、癌の進行を遅滞するための治療を行い

     ます。疼痛対策では腹腔神経叢にエタノールを注入して神経叢を破壊する緩和療法もとられます。疼痛緩和の

     ために経口モルヒネや硬膜下神経ブロックなども採用されております。





     
§4−1−5 黄疸の治療/膵癌(膵臓癌)


             -膵癌の好発部位-
特に膵頭部癌では、胆管と合流する膵

管が侵されるために閉塞し、胆汁が血

液中に漏出するため黄疸が出易く、そ

の対処としては、胆汁を経皮的に体外

に取り出す経皮経肝胆管ドレナージ(

PTCD)という方法がとられます。又、胆

汁を排出する外胆汁瘻チューブを十二

指腸に押し込んで、開口部を作り胆

汁を十二指腸に導く方法も可能です。

更にはステントを用いて癌で狭窄している部分を広げて、胆汁を導通させ、開腹手術をしないで黄疸

を軽減する方法や、内視鏡を使う内視鏡的逆行性胆汁ドレナージ法(ERBD)もあります。





 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)



     
§4−2 化学療法/膵癌(膵臓癌)


     重い全身合併症がなく、肝臓、腎臓、骨髄機能に大きな障害が無いようであれば抗癌剤による化学療法を選択

     する事もあります。5FU.MMC.シスプラチンなどの抗癌剤が有りますが単独よりも多剤併用の療法も用いられます。

     抗癌剤の注入も静注以外にも動脈ないにカテーテルを挿入して、直接膵癌部に注入する事も試みられております。

     膵癌(膵臓癌)の場合は結果が豊富でないために、化学療法による癌縮小の困難性があります。放射線療法なども

     併用される事もあります。糖尿病を合併している場合にはインスリン注射や漢方薬などの選択も考慮されます。





     
§5 膵癌(膵臓癌)の分類



     
§5−1 膵癌(膵臓癌)の組織型分類

1外分泌腫瘍 漿液性嚢胞腺癌*1 *1 被膜の薄い凹凸した類球形の悪性腫瘍で壁の薄い多房性の小嚢胞から成る。嚢胞の内容は水様透明な液体。
粘液性嚢胞腺癌*2 *2 厚い繊維性被膜を持つ巨大球形の悪性腫瘍で、大きさの異なるいくつかの嚢胞から成る。嚢胞の内容は粘液性あるいは粘血性の液体
膵管内乳頭腺癌*3 *3 主膵管内や分枝膵管内に乳頭状増殖を示す悪性腫瘍。粘液貯留による主膵管の瀰漫性拡張、乳頭口開大などの所見を伴う事があり、この様な所見を伴う膵腫瘍を「粘液産生膵腫瘍」と呼ぶ。
浸潤性膵管癌*4 *4 膵管類似の腺腔形成や膵管上皮への分化が見られ浸潤性の強い悪性腫瘍。膵癌の大部分を占める。
腺房細胞癌*5 *5 腺房細胞に類似した細胞から成る充実性の悪性腫瘍
2内分泌腫瘍*6 *6 膵島由来のホルモン産生腫瘍。ホルモンの過剰分泌に伴う症状を呈するもの。あるいは、血清ホルモン値の上昇が確認されているものを機能性腫瘍、それ以外を非機能性腫瘍と呼ぶ。機能性腫瘍は産生ホルモンにより種々の名前で呼ばれ、インスリノーマ、ガストリノーマなどが含まれる。
3併存腫瘍*7 *7 外分泌腫瘍と内分泌腫瘍が同一腫瘍内に混在あるいは併存してみられるもの
4分類不能
5その他
                                                            by 日本膵臓学会








     
§5−2 TNM分類/膵癌(膵臓癌)


T 原発腫瘍
Tx 原発腫瘍の評価が不可能
T0 原発腫瘍を認めない
Tis 上皮内癌
T1 膵内に限局する。最大径が2p以下の腫瘍
T2 膵内に限局する。最大径が2pを越える腫瘍
T3 直接、次のどれかに進展する腫瘍/十二指腸、胆管、膵周囲の組織*1
T4 直接、次のどれかに進展する腫瘍/胃、脾、結腸、近傍の大血管*2
*1 膵周囲の組織とは周辺の後腹膜脂肪組織(後腹膜の何分組織や後腹膜腔)をいう。これは腸間膜(腸間膜脂肪組織)、結腸間膜、大網及び小網、腹膜を含む、胆管、及び十二指腸への直接浸潤にはVater膨大部への浸潤も含まれる。
*2 近傍の大血管とは門脈、腹腔動脈、ならびに上腸間膜動静脈と総肝動脈(脾動静脈は含まない)をいう。
N 所属リンパ節
Nx 所属リンパ節転移の評価が不可能
N0 所属リンパ節転移なし
N1 所属リンパ節転移あり
 N1a 1個の所属リンパ節転移
 N1b 複数の所属リンパ節転移
M 遠隔転移
Mx  遠隔転移の評価が不可能
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり



 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)




     
§5−3 病期分類/膵癌(膵臓癌)


病期分類
0期 Tis N0 M0
T期 T1 N0 M0
T2 N0 M0
U期 T3 N0 M0
V期 T1 N1 M0
T2 N1 M0
T3 N1 M0
WA期 T4 Nに関係なく M0
WB期 T、Nに関係なく M1
                                                           by UICC





     
§6 転移・再発の治療/膵癌(膵臓癌)


     膵臓癌(膵癌)は手術を受けても(他の癌に比較しても)再発し易く、その再発率は5年以内に90%といわれて

     おります(大半は2〜3年以内に再発します)。膵臓癌(膵癌)は他の癌のように有効な抗癌剤は見つかっておら

     ず、基本的には症状を抑える対症療法になります。





     
§6−1 化学療法/転移・再発/膵癌(膵臓癌)


     膵臓癌(膵癌)は有効な抗癌剤は見つかっておりませんが、ゲムシタビンは膵臓癌の成長を止める力は大きくは

     ないが、わずかな延命効果が認められ、痛みを和らげる事が出来ると報告もされております。数ヶ月の余命であっ

     たものが、1年以上の生存が増えてきたとされております。ゲムシタビンエルロチニブ(分子標的治療薬)を併

     用するとゲムシタビン単独よりもわずかに延命効果が高くなるという報告もあります。


     * 
主な抗癌剤/ゲムシタビン、ゲムシタビン+TS−1、ゲムシタビン+シスプラチン、ゲムシタビン+ベバシズマブ

     ゲムシタビン+オキサリプラチン、ゲムシタビン+エルロチニブフルオロウラシル





     
§6−2 放射線療法/転移・再発/膵癌(膵臓癌)


     体外より放射線を照射し、癌の成長を止める、腫瘍が縮小する、痛みが和らぐなどの効果をねらいます。化学療法

     と併用する事により、延命に効果があるとされております。又、該当する医療施設は少ないが、開腹して直接放射

     線を照射する術中勝者方も試みられております。遠隔転移の無いケースで、適用があります。



 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)



     
§6−3 手術療法/転移・再発/膵癌(膵臓癌)


     症状を和らげる目的で手術を選択する場合があります。膵臓癌(膵癌)はよく十二指腸に広がる事により、内腔

     を狭窄したり、閉塞しますが、その部位を迂回する形で、バイパス手術を行う事もあります。患者さんはこれに

     より、食事を取ることが出来るようになります。膵臓癌(膵癌)はまた、胆管も詰まらせる事があります。胆汁

     が滞留すれば、黄疸などが発現します。身体の外からチューブを使って、胆汁を抜き取るドレナージや、胆管に

     ステントを入れて胆汁の通り道を広くします。胆管と小腸を繋ぐバイパス手術も行う事もあります。





     
§6−4 疼痛緩和/転移・再発/膵癌(膵臓癌)


     患者さんが強い痛みで苦しむ事が有りますが、腫瘍が膵管や胆管の神経に浸潤して広がるためにこの様なこと

     がおこります。この場合にはモルヒネでは充分に、痛みを和らげることが出来ません。この様なケースでは腹部

     神経の痛みの信号を遮断する神経ブロックを行う事があります。








     * 
サイトカイン/リンパ球などの細胞から産生され、標的細胞上の受容体に結合し、作用を及ぼす液性因子です。

     顆粒球コロニー刺激因子などが白血球増加に関与します。



     
* 膵臓癌の早期発見に関する報告;膵臓癌は腹部の深い位置にあります。しかも、臓器は厚みが無く、各種の

     検査でも限界があるのも現状です。従って、検査は簡単では無く、早期発見の難しい癌です。例えば、「上腹部

     の不快感を訴えて受診しても、 診断は胃炎とされたが、 数ヵ月後に黄疸が出る、痩せるなどから進行した膵臓

     癌が判明するという事も比較的ある」とされます。 グループは、癌の出来る前に膵臓内の小さな異変(癌と診断

     される数年前の異変)に気付きました。それは膵臓の中を走る主膵管が正常な状態よりも少し太い・膵臓内に袋

     状の嚢胞が出来たりするなどの異常が多いという事です。 グループでは研究成果を基に、1998年から超音波

     を使った膵臓癌検診を開始。具体的には人間ドックなどで、膵臓が腫れているなど、何らかの異常を発見できた

     人を対象とし、主膵管が(通常1、5o程度のものが2、5o以上と)太くないかや、嚢胞が出来ていないかを入念

     に観察して、異常を発見できれば、 造影剤を使った超音波検査や、膵液の組織を採取するなどで、癌細胞の有

     無を確認します。 (主膵管が太い人や嚢胞のある人は、現在、検査で異常が無くても、将来膵臓癌になるリスク

     は、通常より高いと考えられる) 異常が無くても、その後は、 グループでは当該患者に6ヶ月毎の定期検診を薦

     めている。 主膵管の拡張・嚢胞のどちらかがある人はどちらも認められなかった人に比して、膵臓癌の発症リス

     クは約3倍、 両方ある人では27倍に高まるとしており、さらに、膵臓癌の発症する確率は年平均で1%以上と高

     率である事も報告しております。 当初、専門家から 「超音波による膵臓検査は困難」と効果を疑問視する見解も

     あったが、近年では「検診法を学びたい」という検査技師が増加していると報告しております。


     
追跡データ;膵管拡張患者や膵嚢胞患者1,039人を平均、5、6年追跡調査の結果、17人に膵臓癌が発見され、

     17人の内、7人はステージ0〜ステージTの段階で癌を発見できた。
通常の場合では、この段階での膵臓癌発

     見率は2%程度とされ、その発見率は際立っております。







      * ご覧になりたい項目の金色ボタンをクリックして下さい。ご希望のページへジャンプします。

頭頸部 脳腫瘍 上顎洞癌 舌癌 咽頭癌
喉頭癌 甲状腺癌 食道癌
胸部 肺癌 乳癌 縦隔腫瘍
腹部  胃癌 肝癌 胆嚢癌 胆管癌
膵癌 腎癌 膀胱癌 大腸癌
. .癌 膣癌 子宮頸癌 子宮体癌
子宮肉腫 卵巣癌 卵管癌 絨毛癌
前立腺癌 .腫瘍
全身性 神経芽腫 骨腫瘍 皮膚癌 多発性骨髄腫
急性白血病 慢性リンパ性白血病 悪性リンパ腫
成人T細胞白血病 慢性骨髄性白血病
その他 抗癌剤 転移・再発 疼痛緩和ケア ターミナルケア
腫瘍マーカー
















 home(癌&癌のキーワード)>menu>膵癌(膵臓癌)
-癌&癌のキーワード-
(C)allright reserved