子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)・症状・検査・療法

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子宮頸癌・ヒトパピローマウィルス・多発部位・症状・検査・療法・合併症・転移・再発



    
概要/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん))


    子宮頸癌は子宮の入口のくびれた部分(頸部)に発生する癌で、この子宮頸癌の発症年齢は低年齢化傾向です。

    子宮頸癌はヒトパピローマウィルス(HPV)感染が原因のため、セ ス渉の低年齢化に伴って、発症年齢が低下し

    ています。子宮頸癌を発症するのは、HPV感染者の全てではなく、その極一部の人に発症します。子宮頸癌は成

    長が比較的遅く、初期に発見されれば、完治する可能性の高い癌です。発見が遅れれば、周囲組織に浸潤し、更

    に、脂肪組織、膣、リンパ節、骨盤壁、膀胱、直腸にも浸潤し、更には遠隔転移もします。(肺などの遠隔臓器など)




    §1 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん))


    子宮頸癌には発生部位により膣部の癌と頸管癌の2つがあります。子宮頸癌は子宮頸部に発生する癌であり、成熟

    期の女性は膣部癌が多く、閉経後の女性では頸管癌として発生し、成熟期は外向性発育型をとり、閉経後は内向性

    発育型の事が多い。







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    §2 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の起こり易い部位


    子宮頸癌はセ スによるヒトパピローマウィルスの感染が原因です。子宮頸癌には扁平上皮癌と腺癌(頸管粘液を分泌

    する腺組織に出来る)が有りますが、発生し易い場所が分かっています。それは円柱上皮と扁平上皮の境目です。

    子宮頸部の粘膜は単層の円柱上皮に覆われており、膣の粘膜は重層(15〜20層)の扁平上皮で覆われています。

    その境目は子宮口の辺りになりますがこの境目は年齢により、エストロゲンの作用により変動します。エストロゲン

    の影響下では境目は膣側に移動し、分泌が少ない環境下では頸部の奥側に移動します。出生後間もない赤ちゃんは

    胎盤からもらうエストロゲンの影響下では境目が膣側に有りますが、エストロゲンの少ない小児では頸部の中にあり

    ます。
         -子宮頸癌の起こり易い部位-

同様の理由により思春期、成熟期の女性

はエストロゲンの分泌影響下にあるため

境目は膣側にあり、更年期、閉経期以降

では境目は頸部内に移動します。子宮頸

癌は扁平上皮癌が多数を占めますが近年

では腺癌の割合は増加傾向にあります。

腺癌は扁平上皮癌とは異なり、深い腺管

から生じるものがあり、細胞の異型性も

少ないために、細胞診で見逃され易い傾

向があり、予後も扁平上皮癌と比べると

不良と考えられております。子宮頸癌は早期発見ならば治癒率の高い癌ですが、同じ子宮頸癌でもこの

様なタイプがある事もご理解下さい。






    §3 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)とヒトパピローマウィルス(HPV)



    子宮頸癌はヒトパピローマウィルス(HPV;human papilloma virus)の感染が原因ですが、疫学的背景から2型単純ヘル

    ペスウィルスやヒトパピローマウィルスの関与が従来から指摘されておりました。そして、それは免疫組織化学や分子

    生物学の手法からHPVが高頻度に特定され、子宮頸癌の原因は確認された。HPVの感染〜癌化では免疫の低下

    状態下での妊娠、臓器移植時の免疫抑制剤の使用、抗癌化学療法による骨髄抑制、AIDSもその原因の一つと指摘

    されている。

    実際、AIDSの女性患者にはしばしば子宮頸癌が確認されています。HPVは現在遺伝子の異なるタイプは百種類以上と

    されています。感染イコール子宮頸癌罹患ではありません。悪性変化をするタイプは10種類程度とされ特に子宮

    頸癌はHPVの16型、18型であり、その他に31型、52型、58型がなどが指摘されている。ちなみに産婦人科領域では尖圭

    コンジローマにHPVが関与している事が昔から指摘されていましたが、この.、.周囲、膣や子宮膣部に発生する

    良性の凹凸の小乳頭上疣腫(カリフラワー状)はHPVの11型、6型の感染によって発症します。尖圭コンジローマは子宮

    頸癌とは別のタイプのウィルスという事になります。又、極一部にはHPVとは関係なく発生する扁平上皮癌もあります。




    §4 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)のリスクファクター


    HPVの感染源は、男性のペニスの汚れ、分泌液中のHPVがにより子宮頸部に感染し頸部細胞を癌化

    させる。若い年齢での回数の多いセ ス、複数の相手、早産・若年出産、喫煙歴、妊娠・出産回数、野菜・果物の摂取量

    が少ない(ビタミンAビタミンC、βカロチン)、.感染症(梅毒、クラミジア、淋病、2型単純ヘルペスウィルス感染

    症)などがリスクを高めます。また、種類を問わずSTD(.感染症)に罹っていますと、.に炎症が有ります

    ので、他のSTDにも感染し易くなります。悪循環になってからではなく、感染したらすぐに治療しなければなりません。



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    §5 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の症状


    子宮頸癌は初期(扁平上皮内に留まる、前癌病変の異型性)は無症候は90%以上で子宮癌検診や婦人科の他の

    病気でも検査などから子宮膣部の細胞診で発見されることが多い。早期の子宮頸癌は月経以外に、あるいは閉経

    以降に見られる少量の出血(不正.出血)で、セ ス時あるいはその直後の点状出血で気づく。

    進行すればセ ス時の多量の不正.出血、膿血性帯下、骨盤に限局した疼痛があり、帯下の悪臭は腫瘍組織の

    壊死と嫌気性菌影響のもので、子宮頸癌特有の悪臭を放つ。腺癌では帯下の増量、水溶性帯下(悪性腫瘍)で、あ

    ふれ出る帯下のために何度も下着やパッドを交換しなければならないほどである。末期になるとシンプソン徴候

    坐骨神経痛、下肢腫脹(下肢疼痛、下肢むくみ)、水腎症、膀胱膣瘻など尿路障害、背部痛、腰痛、直腸膣など

    の直腸障害、貧血(出血によるもの、癌細胞増殖により血液消費が増加)などが起こる。


    性成熟期の出血は多彩な原因に基ずく不正.出血の認められる時期であるため、月経に続く出血や、月経が不

    順になってからの出血は機能性子宮出血との鑑別がされなければならず、無月経に引き続く出血は流産や子宮外

    妊娠の異常によるものなのか否かの鑑別もされなければなりません。




    §6 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の検査


    子宮癌検診は20歳代から受診できますが日本における受診率は極めて低く、この機会は見逃してはいけません。

    子宮頸癌の検診を受けると検診受診者のうちでも、要精検率も極めて低く更に0期の段階の人が非常に多いという

    成績になっております。子宮頸癌の診断に至るまでの検査は細胞診、組織診、画像診断があります。近年の資料で

    も健診受診率は2割程度と低迷しています(OECDの調査では、欧米諸国で70〜80%)。女優の洞口依子さんは、

    発見の遅れから、御自分の子宮全摘の経験を公表されております。原因の大半がヒトパピローマウィルスであり、

    検診では前癌状態まで発見できます。ヒトパピローマウィルスは極ありふれたウィルスで、セ ス経験がある方で

    あれば、80%の人が、一度は感染するといわれております(そのうち90%の人は免疫力でウィルスを排除する)。

    感染を防ぐためのワクチンの導入も各国で広がっております(セ ス渉を経験する前の10歳代前半中心に接種を推

    奨されており公費負担を実施する国も多い)。日本では相変わらず未承認です。ワクチンは無毒で安全、効果は最

    低6年位は続くため、中学で接種し、20歳代からHPV検査主体の検診が良い。欧米ではウィルスを直接検出する

    HPV検査も普及しており、中等度異形成異常の病変は100%発見できるとされます。



    §6−1 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の細胞診


    子宮頸癌の細胞診は子宮頸部の粘膜をこすったり、子宮内膜の粘膜の細胞をサンプリングして採取された細胞を、

    色素で染めて顕微鏡で診断します。子宮頸癌診断率は99%以上とされています。

    子宮頸癌の擦過細胞診では綿棒、ブラシ、へら(木製、プラスティック)など専用の器具で子宮頸部粘膜から少し、

    こすってその中の異型細胞の有無を、悪性の可能性があるか否かを顕微鏡で調べます。出血や痛みは殆どありま

    せん。



    §6−2 子宮頸部細胞診のクラス分類

クラスT 正常
クラスU 異常細胞を認めるが、良性である。
クラスV 悪性を疑うが断定まではできない。
   Va 悪性を少し疑う。軽度・中等度異形成を想定する。
癌は5%程度がこのクラスから検出される。
   Vb 悪性がかなり疑われる。高度異形成を想定する。
癌は50%程度がこのクラスから検出される。
クラスW 極めて強く悪性が疑われる。上皮内癌が想定される。
クラスX 悪性。浸潤癌が想定される。



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    §6−3 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の組織診

    疑わしい部分の組織を採取して、標本を作って顕微鏡で診断します。子宮頸部の組織診の場合は殆ど痛みや出血は

    ありません。子宮頸癌であるか無いかがこの組織診で確定します。子宮頸管の擦過細胞診で異常が認められますと、

    膣拡大鏡検査を実施します。膣拡大鏡検査(コルポスコピー)では8〜16倍の観察、3%の酢酸液を子宮部の表面に

    塗布する加工コルポスコピーも使います。特に円柱上皮と扁平上皮の境目での観察が重要になります。境目が奥に

    移動している場合には頸管拡張摂子という頸管を広げ、頸管内を観察できるピンセットを使って観察する事もあります。

コルポスコピー観察下での異常所見のある場合

、その部位の細胞を診査切除器を用いて採取し

生検を行います。これは、ねらい組織診(ねら

い生検・パンチ生検)といい癌なのか、どの様

なタイプの癌か、浸潤しているのか、などの診

断に使われます。細胞診陽性でコルポスコピー

で異常所見が全く見られない場合や、異常所見

の上限が確認できない場合などはキューレット

を用いて頸管内を掻爬しますが、それでも確定

できなければ診断目的の子宮頸部円錐切除術も

選択されます。クスコ膣鏡は通常コルポスコピ

ー(膣拡大鏡検査)の際に使用されます。
       -キューレット&クスコ膣鏡-








    §6−4 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の画像診断


    超音波検査は人には聞こえない高周波の音波を利用して体内の検査をする安全な方法で、妊婦や胎児の様子を確認

    する検査方法としてもよく知られています。近年では経膣超音波検査といいまして膣を経由して検査します。MRI

    検査は磁気を使って人体を輪切りにした画像で知られております磁気共鳴画像診断で、立体的な画像が得られるため

    癌の広がりを知るために有用な検査となっています。CT検査はコンピューターとx線を組み合わせた断層撮影装置

    と呼ばれやはり、人体を輪切りにして画像化します。リンパ節転移や腹部臓器への転移を知ることができます。



    §7 関連検査値・基準値/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    
尿潜血




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    §8 進行期/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    
§8−1 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の臨床進行期


    子宮頸癌の進行に関してはわが国では子宮癌取り扱い規約にその臨床進行期の分類が示されておりますが、原則と

    して子宮体癌や卵巣腫瘍と異なり、子宮頸癌は進行期を決定したら、以後これを覆してはならない事になっています。

    これは子宮頸癌は経膣的に観察が可能で、癌腫の浸潤が膣鏡診、双合診により把握可能である事によります。従い、

    進行期決定は婦人科臨床腫瘍学に習熟した医師でなければならない。

        -子宮頸癌の進行期図解-

進行期決定には膀胱鏡や直腸鏡、排泄性尿路

造影、胸部・骨のx線撮影が臨床検査として

行われます。ご覧頂いて御理解を頂けると思

いますが、手術適応は早い段階ほど良いのは

一目瞭然です。その手術内容や方法をよくご

覧頂きまして、進行期が少しでも進んで行き

ますと、療法の軽重や治癒の困難度が大きく

変わってゆきます事を御理解してくださる事

を心より願います。


* 御参考に5年生存率の変遷例(%) 適応

手術療法例
もご覧下さい


          -膣・直腸双合診-
双合診とは膣内に挿入した内診指と腹壁上の

外診指で、子宮や両側付属器や子宮傍組織(

結合組織)などを観察する婦人科の基本的な

診察の方法です。腹壁の力を抜いてもらい、

内診指を腹腔内へ挿入して膣壁、処女膜、バ

ルトリン腺、外尿道口などを触診し、腫瘤

、抵抗、圧痛などの異常の有無の確認をしま

す。腫大、硬度確認や、癒着、浸潤癌などが

あれば可動性が制限されるため分かります。




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§8−2 TNM分類/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸ガン)

T 原発腫瘍
TNM分類 FIGO進行期
Tx 原発腫瘍の評価が出来ないもの
T0 原発腫瘍を認めない
Tis 0期 上皮内癌(浸潤前癌)
T1 T期 子宮に限局する頸癌(大部への進展は考慮に入れない)
 T1a TA期 顕微鏡によってのみ診断可能な浸潤癌、たとえ表在性浸潤であっても、肉眼的病変はすべてT1b/B期に分類する。
  T1a1 TA2期 深達度が3、0o以下、水平方向進展が7、0o以下の間質性浸潤
  T1a2 TA1期 深達度が3、0oを超え、5、0o以下で水平方向進展が7、0o以下の間質性浸潤
注;深達度は原発表面、又は腺管のいずれかの上皮の基底腺より5、0oを超えない。深達度の計測は隣接する最も浅い上皮乳頭の上皮間質接合部から腫瘍の浸潤最深点までとする。静脈、又はリンパ管の脈管浸潤は本分類に関連しない。
 T1b TB期 子宮頸部に限局する臨床的肉眼的病変、又はT1a/TA2期より大きい顕微鏡的病変
  T1b1 TB1期 最大径が4、0p以下の臨床的肉眼的病変
  T1b2 TB2期 最大径が4、0pを越える臨床的肉眼的病変
T2 U期 子宮を越えるが、骨盤壁、又は膣の下1/3に浸潤しない腫瘍
 T2a UA期 子宮傍組織浸潤なし
 T2b UB期 子宮傍組織浸潤
T3 V期 骨盤壁に進展、及び/又は膣の1/3に浸潤、及び/又は水腎症又は無機能腎を来たす腫瘍
 T3a VA期 膣の下1/3に浸潤するが、骨盤壁には進展していない腫瘍
 T3b VB期 骨盤壁に進展、及び/又は水腎症又は無機能腎を来たす腫瘍
T4 WA期 膀胱粘膜、又は直腸粘膜に浸潤、及び/又は小骨盤を超えて進展する腫瘍
M1 WB期 遠隔転移
注1;TisとT0を混同しない
注2;T0は臨床所見から子宮頸癌と判定されたものであるが、原発巣より組織学的な癌の診断が出来ないもの(組織学的検索をせずに治療を始めたものも含まれる)
注3;Txは組織学的に子宮頸癌と判定されたものであるが、その進行度の判定が何らかの障害で不能のもの
N 所属リンパ節
Nx 所属リンパ節転移の評価が不可能
N0 所属リンパ節転移なし
N1 所属リンパ節転移あり
M 遠隔転移
Mx 遠隔転移の評価が不可能
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり
                                                            by UICC




    子宮頸癌の臨床進行期(ステージ) 5年生存率の変遷例(%)
適応手術療法例
0期 上内皮癌で組織学的に腫瘍細胞が上皮内に留まり、基底膜を破って間質へ浸潤する所見が見られない。 光線力学療法
単純子宮全摘出術
円錐切除術
T期 癌が子宮頸部に限局するもの(体部浸潤の有無は考慮しない) 83.3%
(1963-1972)
92.1%

 Ta期 組織学的にのみ診断できる浸潤癌。肉眼的に明らかな病巣はたとえ表層浸潤であってもTb期とする。浸潤は計測による間質浸潤の深さが5o以内で縦軸方向の広がりが7oを超えないものとする。浸潤の深さは浸潤が見られる表層上皮の基底膜より計測し5oを超えないものとする。脈管(静脈又はリンパ管)侵襲が有っても進行期は変更しない。 単純子宮全摘出術
  Ta1期 間質浸潤の深さが3o以内で、広がりが7oを超えないもの。 光線力学療法
単純子宮全摘出術
円錐切除術
  Ta2期 間質浸潤の深さが3oを越えるが5o以内で広がりが7mmを超えないもの。 単純子宮全摘出術+骨盤リンパ郭清術 準広汎子宮全摘出術
(広汎子宮頸部摘出術
 Tb期 臨床的に明らかな病巣が子宮頸部に限局するもの、又は臨床的に明らかではないがTa期を越えるもの 広汎子宮全摘出術 (広汎子宮頸部摘出術
  Tb1期 病巣が4p以内のもの 広汎子宮全摘出術
  Tb2期 病巣が4pを越えるもの 広汎子宮全摘出術
U期 癌が頸部を超えて広がっているが、骨盤壁又は膣壁下1/3には達していないもの 66.4%
(1984-1988)
広汎子宮全摘出術
73.1%



 Ua期  膣壁浸潤が認められるが、子宮傍組織浸潤は認められないもの 広汎子宮全摘出術
 Ub期 子宮傍組織浸潤の認められるもの 広汎子宮全摘出術
V期 癌浸潤が骨盤壁にまで達するもので腫瘍塊と骨盤壁との間に触診上の間隙がない、又は膣壁浸潤が下方部分1/3に達するもの。 36.8%
(1963-1972)
49.2%

 Va期 膣壁浸潤は下1/3に達するが、子宮傍組織浸潤は骨盤壁にまでは達していないもの。
 Vb期 子宮傍組織浸潤が骨盤壁にまで達しているもの。又は明らかな水腎症や無機能腎を認めるもの
W期 癌が小骨盤腔を超えて広がるか、膀胱、直腸の粘膜を侵すもの。 12.1%
(1963-1972)
20.4%

 Wa期 膀胱、直腸の粘膜への浸潤があるもの。
 Wb期 小骨盤腔を超えて広がるもの。
                                                            by 日本産科婦人科学会




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    §9 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の療法



    子宮頸癌の療法は手術療法と、放射線療法が主体です。治療方法につきましては臨床進行期、組織型、年齢、合併

    症の有無などを考慮した治療法が選択されます。手術療法は原則としては0期からUb期までが適応となり、V期

    以降は放射線療法が選択されます。V期以降あたりからは骨盤壁や周囲への浸潤が認められる段階です。0期〜

    Ta1期に限っては特定の医療機関ですが光線力学療法が実践されております
。日本と欧米の子宮頸癌に対する

    手術療法選択、考え方の差に関してですが、手術療法と放射線療法は殆ど同じ効果が得られるとされておりまして、

    実際欧米(仏、独、英、米)などでは日本に比し、手術療法の選択率が低い。日本の子宮頸癌の手術療法選択率は

    特にT期(80〜90%前後)、U期(70〜80%前後)で、際立っています。例えば英米ではT期(20〜35%前後)、

    U期(10−α〜20%程度)とその差が大きい様です。






    
§9−1 光線力学療法/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    腫瘍親和性の光感受性物質(腫瘍に取り込まれ易い物質)を静脈に注射してレーザーを照射することにより癌細胞を

    死滅させる治療法で、子宮頸部はほぼ原型を保つ事が出来、治療中の痛みは無く、出血もしないため麻酔なしで施療

    できます。細胞診、コルポスコピー下のねらい組織診で診断が一致したTa期では非常に高い確率で子宮頸癌が治癒

    したとの報告もあり、Ta1期までならば有用な治療法であると考えられています。副作用は、日焼けし易いので治療中

    の遮光は充分配慮することがあり、デメリットとして治療期間が長い事や、高額医療機器のために限られて医療施設

    でしか治療は実践されていません。




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    §9−2 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の手術療法



           -手術療法図解-


子宮頸癌の手術療法は子宮頸部円錐切除術(0

期〜近年の傾向ではTa1期も)、単純子宮全摘

出術(0期/資料により〜Ta期)、準広汎子宮

全摘出術(Ta期 もしくは資料により主にT

a2期)、広汎子宮全摘出術(資料によりTa期

U期あるいはTb期〜U期)などがあります

。医療機関の考え方により手術適応範囲に若干

の差があります。





    §9−3 円錐切除術/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)



    お腹を切らないで膣側から子宮頸部を円錐状にくりぬく手術方法で0期からTa1期の患者さんにも適応される様に

    なってきております。円錐切除術では子宮頸癌の発生機序から、扁平上皮と円柱上皮の境の部分で、癌細胞の取り

    残しが無いように、余裕を持った部位を切除する事が肝要になります。従いまして、境界が入り口側にある若い人

    では切除部位も少なくてすみますが、閉経後などの人の場合では境界も深くなっているために切除部位も円錐の

    頂点の部分の高さが高くなります。
        -子宮頸癌円錐切除術-
 切除は高周波電流によるリープ法というワイヤーを使用し

 た方法で行われる事が多くなりました。この方法はコール

 ドナイフより切れ味もよく出血量が少なく、止血も同時に

 可能なため切除時間は10〜15秒/回 で済みます。(但

 し、他の手術と同様に術後6週間程度は患部からの出血、

 分泌物が確認されることがあります。)ですが、癌が頸管

 の奥深くまで及んでいるようなケースでは取り残しの危険

 性があるので、円錐切除術は採用できません。また、浸潤

 が疑われるケースでは医療機関の判断に偏差が有りますが

 、コールドナイフを採用する事のほうが多くなります。

    円錐切除術ではレーザーを用いた方法(蒸散術/laser vaporization)も採用される施設もあります。この方法は癌の

    取り残しが少ない事や、施療時間が短時間であること、術中出血も少なく、入院期間が少なくてすむなど、優れた点

    も多い方法です。術後出血の危険性や頸管狭窄というデメリットや、レーザー機器が高価なため施療できる施設にも

    限りがあります。円錐切除術の場合は、子宮が温存できるという大きなメリットがあります。また開腹手術の場合

    などは、回復までに時間がかかりますが、それに比して短期間の回復が期待できます。従って、治癒した後では妊娠

    や出産が出来る可能性もあります。デメリットは繰り返す部分も有りますが、術後に頸管狭窄を起こす事があるため、

    狭窄を起こすと、月経困難症の症状が強くなる、子宮腔内にゾンデが入り難くなる関係から子宮内膜の細胞診が難しく

    なる事もあります。また、子宮頸管の長さが短くなるために流産、早産の予防を目的とした頸管縫縮術を行う場合も

    あります。円錐切除で切除した組織は病理検査を行い、その断端に癌細胞が無ければそのまま定期の検査を行って

    経過を観察する事になります。この段階で癌細胞が発見されれば多くの場合は、頸部の追加切除術や単純子宮全摘術

    を行う事になります。



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    §9−4 単純子宮全摘出術/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)(手術療法図解も御参考にご覧下さい)


    子宮を支える組織を切り離して子宮だけを全摘する手術です。Ta1期の場合で妊娠を望まれない場合、リンパ節転移

    の心配が無ければそれで手術は終了します。しかし、Ta2期になりますとリンパ節に転移する可能性を配慮し、骨盤

    リンパ節を郭清することになります。骨盤リンパ節は仙骨リンパ節、基靭帯リンパ節、内腸骨リンパ節、外腸骨

    リンパ節、鼠径上リンパ節、閉鎖リンパ節、総腸骨リンパ節などがあります。単純子宮全摘出術は開腹する方法と、

    膣の法から行う方法があります。単純子宮全摘出術は膣側から行われる膣式(vaginal)と腹式(abdominal)は、子宮

    膣部の病巣の最外端と切創縁との間の距離をおくために、膣経期を多少切除する必要がある。膣側の方が痛みが

    少なく、腹膜炎や腸閉塞などの合併症は比較的起こらず、入院期間も少なくてすみますがこの方法が取れないケース

    があります。(開腹手術歴がある、子宮内膜症で腹腔内に癒着がある)また、出産経験がないひとや膣があまり

    伸びない場合などは膣式は難しい場合もあります。(腹腔鏡併用の膣式を採用する事も有ります。これは腹腔鏡下で

    癒着部分や子宮内膜症の処置などを行ってから膣式で全摘術を行うものです)。腹腔鏡下の手術は開腹手術より傷が

    小さくてすみます。(ガス圧による腹腔鏡では癌細胞をばら撒く可能性があるのではないかという疑問が提起されて

    います。)





    §9−5 準広汎子宮全摘出術/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)手術療法図解も御参考にご覧下さい)


    準広汎子宮全摘出術はTa期もしくは資料によりましてはTa2期の脈管侵襲のない子宮頸癌を対象に行われるとされ

    ています。主にという事は、解釈では幅を感じますがこの準という事は、字義の通り、広汎子宮全的手術の縮小手術

    が準広汎子宮摘出術です。これは基靭帯や膀胱子宮靭帯を子宮近辺で切り離すため、広汎子宮全摘手術ほどの広

    範囲の規模ではないために、膀胱への影響も少ないとされています。




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    §9−6 (広汎子宮頸部摘出術)/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    この広汎子宮頸部摘出術は安全性の確度が確かめられておりません。子宮頸癌のTa2期Tb1期で、サイズの小

    さな癌に適応されるもので、子宮頸部を基靭帯の一部と共に切除して、所属リンパ節の(骨盤リンパ節)の郭清を行う

    縮小摘出術です。子宮体部を温存できるので妊娠も可能であるとの海外からの報告もあります。安全性に加え、進行

    期の適応がどのあたりが適切なのかの論議も含めて、検討課題です。





    §9−7 広汎子宮全摘出術/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)手術療法図解も御参考にご覧下さい)


    広汎子宮全摘出術はTb期Ub期、資料によりましてはTb期やU期の子宮頸癌に適応されるとあります。広汎子宮

    全摘出術は広範囲切除術のため、骨盤神経叢を傷つけ易く、膀胱と子宮を繋ぐ膀胱子宮靭帯及び、子宮頸部と骨盤壁

    を繋ぐ基靭帯には膀胱を支配する神経叢がありますが、これを切断する事により排尿困難などの障害を起こす可能性

    があります。
          -子宮頸部主要リンパ節-
基本的には子宮、卵巣、卵管、子宮を支え

る全ての靭帯、膣上部と所属リンパ節の郭

清がされ、その郭清範囲は、所属リンパ節

骨盤リンパ節(基靭帯節、内腸骨節、閉

鎖節、外腸骨節、仙骨節、総腸骨節、鼠径

上節)です。場合により拡大手術としまし

て基靭帯をその根部から摘出する超広汎子

宮全摘出術がVb期に、膀胱や直腸を子宮

と共に摘出する骨盤除臓術をWa期に適応

する症例もあります。




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    §9−8 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の放射線療法


    子宮頸癌の放射線療法は主治療として原則は外部照射(体外照射)と腔内照射(膣内照射)を併用する方法で外部

    照射は骨盤内の所属リンパ節領域を含む全骨盤を照射する腹背(前後)からの対向で施療しますが、照射野の中央

    は遮蔽します。


    テレコバルトやリアニック、ベータトロンなどが使用されます。腔内照射はタンデムと呼ばれる子宮内線源とオボイド

    と呼ばれる腔内線源による照射を併用しますが、密封小線源を入れて癌に近接させより高い線量で治療する効果的な

    方法です。小線源にはラジウム、コバルト、セシウム、イリジウムなどを密封したチューブが用いられます。放射線

    療法は高エネルギー放射線を照射することで、癌細胞のDNA鎖を切断して細胞を殺傷する事を目的としています。

    放射線を照射することにより癌細胞のみならず、正常細胞も損傷しますが、正常細胞の高い回復力により回復を

    期待できますが、癌細胞は回復能力が低いので繰り返しのダメージで大きく損傷します。

手術療法で病巣が完全に摘除されたとする症例

でも、顕微鏡的に癌の残存の可能性があれば、

術後照射が選択されます。術後照射の適応例で

は、骨盤リンパ節転移陽性、子宮傍結合組織侵

潤、深い子宮頸部間質浸潤、脈管侵襲などがあ

ります。子宮頸癌は放射線がよく効く癌とされ

ています。日本においてはT期、U期の子宮頸

癌は手術中心の療法になっておりますが、欧米

ではTb期U期においても放射線療法は施療

されています。日本における放射線療法はV期

W期子宮頸癌で第一選択となっており、内科

的な病気の合併、全身状態が悪く手術療法が取

れないケースでも放射線療法が第一選択肢にな

っております。子宮頸癌の再発時にも放射線療

法はよく採用されますし、骨への転移による痛

みを軽減する目的でも放射線の照射が行われま

す。




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§9−9 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の化学療法併用放射線療法


    近年ではシスプラチンと放射線照射を併用する化学療法併用放射線療法も選択されるようになって来ております。

    放射線照射によるダメージを受けた癌細胞が修復するのを阻害したリ、癌細胞の放射線に対する感受性を高める効果

    があると考えれております。米国においては進行子宮頸癌の大規模なランダム化比較試験が実施され化学療法併用

    放射線療法において有益性が確認されたとして進行子宮頸癌の標準的療法になりつつある。遠隔転移にもこの療法は

    広がりつつある。これはTb2期U期の症例には有効であるが、Vb期に限った検証では不十分であり、晩発障害も

    明らかになっていないなどの指摘があり、課題である。






    §9−10 子宮頸癌(子宮頸ガン子宮頸がん)の化学療法



    子宮頸癌の化学療法には術前の腫瘍縮小を目的にした主治療前化学療法や、遠隔転移がある場合、手術療法や

    放射線療法後に再発した場合、手術後の再発を予防する術後化学療法、進行癌に対する放射線療法との併用などで

    使用されます。


    子宮頸癌ではシスプラチン中心の多剤併用療法が行われており、イリノテカンマイトマイシンパクリタキセル

    も用いられている。化学療法ではその副作用に付いてはよく知られておりますが、よく確認される副作用としては

    吐き気・嘔吐、骨髄抑制、下痢、脱毛、食欲不振、発熱、倦怠感、発疹、肝機能障害、腎機能障害、関節痛、筋肉痛

    などがあります。症例は少ないながら、間質性肺炎、肺線維症もみられます。骨髄抑制による白血球減少は、人体の

    免疫機能を損なう大きな原因となり、それに伴う感染症に付いては重大な注意が必要になります。出血が止まらない、

    風邪、食中毒、皮下出血などにがあれば担当医と相談しなければなりません。また、手足の痺れ、痛み、だるさ、

    耳鳴り、難聴、かすみ目なども医師と相談します。副作用の症状は医師にしっかり伝えます。軽いと思われる症状の

    時はとりあえず氷を口に含んだり、消化の良いメニュー、脂肪は控える、水分を充分補給する、酸味、金属的な味を

    感じる時にはミントなどをなめる、食事はゆっくり少量ずつ、満腹にならないように、食後は横にならず、椅子に

    すわる、ゆっくり大きく呼吸をする、冷たい水でうがいする。などを試せます。多剤併用療法ではその他にも子宮頸癌

    で用いられる薬剤はフルオロウラシルエトポシドインターフェロン(子宮頸部扁平上皮癌)などもあります。




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§10 関連抗癌剤/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    フルオロウラシルエトポシドインターフェロンイホスファミドシクロホスファミドテガフールウラシル

    チオテパドキシフルリジンメトトレキサートピラルビシンブレオマイシンマイトマイシンビンクリスチン

    カルボプラチンシスプラチン、シスプラチンを主体とする多剤併用療法、メチルテストステロンネダプラチン

    タモキシフェンイリノテカンパクリタキセル    






    
§11 子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)の治療による合併症


    子宮頸部の円錐切除術では子宮が温存されますが、子宮摘出術では妊娠能を失います。広汎子宮摘出術では切

    除範囲も広く障害は様々あります。特に多いのが、膀胱機能障害です。 これは骨盤神経叢を傷付けてしまうために

    起きるもので、排尿障害、排便障害を招きますが、術後のカテーテルから細菌による尿路感染症も考えられます。


    症例に応じて神経叢を温存する手術法も普及しています。又骨盤リンパ節郭清術では下半身のリンパ流の途絶から、

    下肢や.部の浮腫、あるいはリンパ液の後腹膜腔への漏洩やリンパ嚢胞が出現したり、脚がむくみ易くなります。

    (軽いむくみならば専用の包帯、弾性ストッキング、弾性ハイソックスの利用でも改善します)更に、膣の短縮と

    骨盤神経叢の切断からセ ス障害や卵巣摘出術や術後放射線照射を加わりますと膣の萎縮や乾燥も有り得、障害の

    程度を増加させます。



    放射線療法による合併症には治療中では放射線宿酔(悪心、嘔吐、全身倦怠感)、皮膚炎(最初赤くなりその後、

    色素沈着を起こします。日焼けや火傷と同じで皮膚がただれる事も有りますが、次第に治まります。軟膏があります。)

    、食欲不振、下痢などがあります。治療後では頻尿や血尿、膀胱障害、便意が近くなる、腹痛、排便時の痛み、下血

    などの直腸障害です。



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§12 転移・再発時の治療/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    
§12−1 化学療法/転移・再発時の治療/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    
子宮頸癌が離れた臓器に転移・再発した場合には化学療法が選択されます。子宮頸癌はシスプラチンなどには感

    受性があるため、シスプラチン中心の多剤併用療法の治療を行います。一般的に静脈に投与される抗癌剤は、全

    身に行き渡り、効果を発揮します。投与の方法では、子宮動脈に直接投与する動注法も試みられております。化学

    療法により、他臓器に転移した癌が消滅したり、小さくなった場合には、手術や放射線療養なども行い、完治を目指

    す事もあります。近傍の局所転移では、骨盤内臓全摘術、化学放射線療法、放射線療法などを行います。化学放

    射線療法や、手術療法では局所再発の場合には、40〜50%の治癒率との報告があります。



    * 
多剤併用療法など/イホスファミド、シスプラチン+パクリタキセル、シスプラチン+フルオロウラシル

    シスプラチン+ゲムシタビン、シスプラチン+ノギテカンイリノテカンシスプラチン





    
§12−2 緩和療法/転移・再発時の治療/子宮頸癌(子宮頸ガン・子宮頸がん)


    骨盤に転移する進行した子宮頸癌では、強い痛みを感じるようになり、腸に転移すれば、腸閉塞もおこします。

    その他、腫瘍の成長により尿管が圧迫されたり、膣からの出血も確認されることもあります。この様な場合には

    骨盤周辺に放射線を照射する事により、痛みを緩和する事ができます。









    * 
機能性子宮出血/器質的疾患を認めない子宮からの不正出血で、多くは内分泌学的な異常から来るものですが、

    まれには血液疾患が原因のものもあります。器質的疾患(内診、超音波検査MRI検査などで)を認めなければ、



    機能的疾患と判断される。

    * 
膀胱膣瘻/膀胱に孔が空き、膀胱と膣の間が開通し尿が膣のほうにもれてくる状態



    * 
直腸膣瘻/直腸壁が破れて直腸と膣の間が開通し便が膣のほうにもれてくる状態であり、末期や分娩の時の傷が

    原因になる事もあります。



    
* HPV感染/世界でHPVに感染する人は年間3億人にも上るとされ(by WHO)、その大部分は免疫力により体内か

    ら自然に消えますが、極一部の人にはウィルスが細胞に残る持続感染となります。これが続く事により、年間45万人

    (発癌性のHPVに感染した人の0.15%)が癌に罹患します。日本では年間8千人が罹患し、2400人が死亡します。



    
* HPVワクチン/ワクチンはウィルスの表面にある蛋白質の遺伝子だけを取り込み、別な細胞にその遺伝子を組み込

    み、HPVウィルスの表面の蛋白質だけを作らせたもので、このワクチンは全く感染性は無く、病原性が蘇ることはあり

    ません。遺伝子工学的な方法により、大量のワクチンを生産する事ができます。接種1年程度で100%の抗体が出来、

    自然に得た抗体よりもかなり高い抗体価が得られる。接種後5年半以上効果が持続する事が確認され、現在生産され

    ている2社(グラクソ・スミスクタイン&メルク)の何れのワクチンもほぼ100%の感染予防が確認されています。重篤

    な副作用の報告は今の所ありません。接種の時期はセクシャルデビュー(セ ス渉開始)前が効果的とされております。

    日本では対応に遅れがあり、現在まだ治験段階であり、認可は2010年頃になるのでは、との観測がされています。



    
* 子宮頸癌ワクチン解禁;2009、12、22国内初のワクチン接種が始まりました。HPV16型、HPV18型の感染予

    防を期待されています。国内感染症研究所病原体ゲノム解析研究センターでの発表では、「子宮頸癌の50%が16

    型、10〜15%が18型とみられる」としております。ワクチン接種は初回接種後、2回目は1ヶ月後、3回目が半年後

    の接種を必要とし、その1連の接種で「少なくとも20年効果は持続する」としています。 対象者は10歳以上で、日本

    産婦人科学会では11〜14歳を中心とする45歳までの女性に推奨するとしております。特に10代の早い段階(セク

    シャルデビュー期前)での接種が進めば、子宮頸癌の激減が期待できるとしています。



    * 子宮頸癌の予防と治療;1995年以降、特に30歳代の罹患率が増加傾向にあります。この15年間では25〜30

    歳の初期上皮内癌は10倍に達するという危険な状況です。そもそも子宮頸癌は30〜50歳代の人に多く、(子宮体

    癌の場合には不 妊や未経産婦、肥満、高血圧などの50歳以上に多い、ウィルスとは関係の無い癌です。)HPV16

    型、18型などが関与し、 感染したケースの10%に異形成が認められ、その中の一部が上皮内癌に侵されてしまう

    とされています。 (HPVの型を調べてその危険率も予測できる様になっています。)10代のHPV感染率は10%に

    上るとされております。 ワクチン接種をどうぞ選択なさって下さい。 接種の時期はセクシャルデビュー(セ ス渉開始)

    前が効果的とされております。 コストは少し高いのですが、(自治体でその対応は異なります。無料の自治体もあり

    ます)1サイクルの接種で70%防ぐ事ができます。 成人女性にも有効です。最近増加傾向の子宮頸管の腺に発生

    する免疫性の腺癌はワクチンでは防げません。 その場合には、細胞診による早期発見がポイントになります。子宮

    頸癌は早期発見により、妊娠可能な状態でほぼ100%治る病気です。 (1期の早期段階では、子宮への影響は避

    ける事が出来ます)







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