子宮体癌・子宮体ガン・肥満・症状・検査・療法

 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)

子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)・月経・脂肪組織・エストロゲン・肥満・症状・検査・療法・再発・術後障害



    
概要/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌は放射線や抗癌剤による治療の効果は、あまり期待できません。治療の中心は手術です。手術が出来

    ない場合には、放射線療法、化学療法が用いられます。局所の進行癌に関しましては、癌を殆ど切除できるなら、

    手術を検討し、手術後、化学療法、放射線療法を施療します。抗癌剤につきましては、近年の研究・開発などに

    より、ある程度の治療効果が期待出来るようです。癌が女性ホルモンに感受性があれば、別の女性ホルモン(プロ

    ゲステロンなど)を使用することもあります。





    
§1 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌はT型とU型があります。T型エストロゲンの刺激を受ける事により子宮内膜増殖症から内膜の過剰な

    増殖の結果から子宮体癌に至るもので、U型はエストロゲンに関係なく発症する子宮体癌です。早く閉経が起こり、

    老化と突然変異により萎縮内膜から発癌するもので、この型は限局性に発育します。子宮体癌の2/3は閉経後に発生

    するこのタイプといわれます。(T型は中〜高分化型癌が多くU型は低分化型の癌が多い)。子宮体癌は早期から

    出血を伴い易く早期発見により治る癌の代表とされております。子宮体癌全体の好発年齢は平均で55〜60歳で、

    50歳代で40%程度が発生し、40歳未満になりますとその頻度は5%前後と考えられております。






 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    
§2 月経と子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    女性は生まれた時から200万個の原始卵胞を持っているといわれます。その中に卵子が入っており原始卵胞は

    成熟女性がエストロゲンを分泌する事によりその作用で子宮内膜が増殖し、エストロゲンの量がピークに達する頃、

    黄体ホルモンが分泌されその作用で排卵されます。


         -子宮の構造-

 排卵卵胞は黄体に変わり、プロゲステロン

 (黄体ホルモン)を分泌します。プロゲステ

 ロンが卵子の.や着床に備え、子宮内膜に栄

 養を与えて成長因子、接着因子、免疫調節因子

 などの分泌を促がします。黄体の寿命は2週間

 前後ですが、.卵が着生しなければ黄体寿命

 が尽き、子宮内膜が剥がれて月経となり、体外

 に排出される訳です。エストロゲンとプロゲス

 テロンのバランスが取れており月経周期が順調

 な女性は子宮体癌になり難いといわれております。

月経が正常にある時期は、子宮内膜は毎月剥離して代謝しますので、内膜に子宮体癌の芽が出来たとしても

剥がれ落ち、癌になり難いとされます。ですが閉経が近づくと排卵周期も間遠になり月経は不順になります。

そして閉経になりますと月経は停止し、排卵は全く起こらなくなります。排卵が無ければプロゲステロンは分泌

されなくなりますが、エストロゲンは脂肪組織で作られるために、エストロゲン過剰の状態となり、エストロゲン

の刺激から子宮内膜は増殖する結果となります。この事が子宮体癌リスクを高めます。

                                           宜しければ御参考に表・卵巣構造模式図もご覧下さい。




 home(癌&癌のキーワード)>menu>
子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    
§3 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)と脂肪組織


    閉経以降に急増する子宮体癌は、何故おきるのでしょうか。卵巣から分泌されていたエストロゲンは、脂肪組織など

    からも合成されています。エストロゲンは副腎から分泌されるアンドロゲンという男性ホルモンを材料にしてテス

    トステロンになりますがこれがアロマターゼという酵素の作用でエストロゲンに変えられているのです。T型

    子宮体癌では正常細胞に見られないアロマターゼが見つかりますが、このアロマターゼがエストロゲンを作っている

    と考えられています。
       -エストロゲン/プロゲステロン/子宮内膜-
閉経後は排卵が起こらないわけですからプロゲ

ステロン
が作られなくなり、エストロゲンは

過剰な状態を保つ事になり、これが子宮内膜の

増殖を促進する事になります。子宮内膜の異常

増殖症(異型を含むもの)は前癌状態と見なさ

れていますが、間質細胞と呼ばれるところから

は子宮内膜を増殖させる物質が分泌されており

、加齢とともにこの物質の分泌バランスも崩れ

ます。癌細胞はこの様な物質にも過敏であり、

これらの刺激は更に子宮内膜の増殖を呼び、子

宮体癌発症リスクを高める結果になります。
 
-卵巣の構造と間質細胞-


* 間質とは組織や器管の機能を司る実質を

 構成する細胞を支える部分を呼びます。

 (様々な器管にあります。例えば消化管

 では上皮細胞を支える部分)







    
§4 エストロゲンと子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    T型の子宮体癌の殆どのケースではエストロゲンの受容体が多く確認されておりますが、この様なケースの子宮体癌

    は組織への浸潤は浅い部分に留まっていることが多く、そのために予後が比較的良いとされています。勿論T型で

    あろうと無かろうと、子宮体癌は早期発見、早期治療が求められる事はあります。子宮体癌である事自体、大変な状況

    ですし、T型が進行すれば浸潤は深くなり、リスクは波及します。また、妊娠や出産経験が少ない人、流産の経験

    なども子宮体癌の罹患リスクが高いとされます。U型の子宮体癌はエストロゲン影響下に無いためエストロゲン受容

    体が確認されず、子宮体癌が発見された時点で既に筋肉層の深い部分に浸潤しております。





  
  §5 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)と肥満


    エストロゲンは脂肪組織からも作られます。肥満であればエストロゲンはより多く作られることになります。子宮

    体癌が増加している一つの要因として、食生活の欧米化がよく言われますが、その結果、脂肪摂取量の増加により

    肥満女性が増加し子宮体癌が増えているとも考えられております。




 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    
§6 乳癌のタモキシフェンとアロマターゼ阻害薬/子宮癌(子宮体ガン・子宮体がん)との関係

    エストロゲンの働きを阻害して乳癌を抑えるホルモン療法としてタモキシフェン(抗エストロゲン剤)が使

    用される場合、子宮内膜の組織学的異常の発生頻度が高まると考えられており、近年ではアロマターゼを阻

    害する方向の薬を使用する方向になりつつあります。アロマターゼ阻害薬の場合は子宮体癌発症リスクを高

    めないとされています。(乳癌のホルモン療法も御参考にご覧下さい。)

    タモキシフェン/乳房ではエストロゲン受容体をブロックし、エストロゲンの作用を阻害する。一方、子宮の

    エストロゲン受容体に結合すると、エストロゲン作用を発揮する。閉経後の乳癌患者に対する長期タモキシ

    フェン投与と子宮体癌発生との関連が注目されている。






    
§7 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)の症状


    子宮体癌は初期のうちから不正.出血が起こりやすく、更年期、閉経期以降に不正.出血が起きたのならば

    すぐに受診しなければなりません。その出血もスポッティングという点状でわずかな出血の場合も、軽く考えては

    いけません。(子宮体癌は出血があってからの受診でも間に合います。もう一つ大切な事は出血のある時に受診する

    のが良いのです。)患者さん全体の98%以上が不正.出血(初発症状の80%が不正.出血で多量出血はまれ、

    褐色帯下、下着が汚れる程度)で、帯下、又は腹痛を訴えます。自覚症状の無いものは1%前後に過ぎません。子宮

    体癌は量の多少に関係なく即刻の婦人科への受診が必要です。少量ですと褐色になる場合がある傾向があります。

    閉経前は月経時の出血が増える月経過多、月経不順、不 妊なども留意します。更年期の女性では閉経前後だから

    という安易な誤解が多く、不正.出血は即、子宮体癌を疑う必要があります。初期は無症状の場合も有りますから

    定期検診も欠かさず受けなければなりません。癌が進行すれば血液に膿が混じったり、子宮が大きくなるなどに

    伴う症状も出ますし、更に進行すると子宮内に膿などの分泌物が溜まり、それを排出しようとする事などから、下肢の

    疼痛やむくみ、尿路障害、直腸障害、貧血、シンプソン徴候などがおこります。






    
§8 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)の検査


    自覚症状などから子宮体癌を疑い、次の段階としましては子宮内膜生検を行って診断が確定されますが、子宮体は

    可視的ではなく盲目的な掻爬では見逃す事が充分あり、内膜生検と同時に子宮内膜細胞診を行います。腫瘍マーカー

    (CA125など)でのバックアップもしてもらいたいですね。



    
関連検査値・基準値/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    尿潜血




 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    
§8−1 細胞診(スメアテスト)/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌の検出法として有用な細胞診は積極的に行われなければなりません。擦過法や吸引法が有りますが子宮

    体癌の危険因子群の女性、不正.出血を自覚するケース、子宮体癌検診実施対象者は確実に診断されるべきで

    しょう。





    
§8−2 組織診(パンチバイオプシー)/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)

    
       
やはり掻爬では病変部を見逃す可能性を否

定できませんので、より確実な診断として

子宮内膜全面からの組織サンプリングが望

まれます。子宮体部と子宮頸部からの分別

掻爬で体癌の頸管への浸潤が確認できます

。頸管浸潤があれば頸癌に準ずる治療が選

択できますし、内膜生検や細胞診で陰性で

あった場合でも不正.出血が持続してい

るようであれば、子宮鏡(ヒステロスコー

プ)検査、全面掻爬を選択実施します。







    
§8−3 腫瘍マーカー/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    腫瘍マーカー 癌細胞の多くは特定の物質を多量産生し、血液中に放出していますのでその物質(腫瘍マーカー)

    を癌細胞検出に利用しますが、それらの特定物質は正常細胞や良性腫瘍からは殆ど作られないものの、炎症のある

    細胞からは作られることもあり、腫瘍マーカー単独では癌であると診断する事は殆どありません。また、早期に

    作られるというわけでもないので早期発見にも殆ど役立ちませんが、経過を定期的に調べる事により、癌の進行度

    を推測するのに使用できます。つまり、治療法の効果の判定や再発の発見の目安には役立ちます。子宮体癌の腫瘍

    マーカーにはCA125.CA19-9が使用され汎用マーカー(多くの癌に汎用される)としてCEA.TPA.BFP.βCF.LAP.

    フェリチンなどが使用されます。




 home(癌&癌のキーワード)>menu>
子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)



    
§8−4 病巣確認検査/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    病巣を直接確認できない子宮体癌では治療前に子宮体癌の広がりを確認した治療計画を立てる事が難しい。子宮の

    外(腹腔内)への広がりの危険性も多い。そのために超音波検査、CT、MRIなどの画像診断による事前確認が

    必要になる。特にMRIでは子宮体癌病巣の筋層浸潤、頸部浸潤をかなり生活に把握する事が出来る。





    
§8−5 超音波検査/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    超音波検査は放射線の被曝の心配の無い検査で、胎児の成長などにも用いられることはよく知られております。

    最近では経膣法(経膣超音波検査)といって膣経由の検査法も用いられます。子宮体癌の検査では一般的に子宮内膜

    が不均一の画像となる事が多い様です。






    
§8−6 CT検査/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    CT検査ではコンピューターとx線を組み合わせた断層撮影をします。リンパ節転移や腹部臓器への転移の有無の

    確認などに使用されます。






    
§8−7 MRI検査/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    MRI検査は磁気を使い断面の画像が得られる磁気共鳴画像診断で癌が高い精度で確認できます。立体画像が得

    られるので癌の広がりを確認できます。






    
§8−8 その他/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    画像診断の他に直接浸潤の有無を調べる方法として、子宮鏡、点滴静脈内腎盂造影、直腸鏡、注腸造影、膀胱鏡

    などがあり、遠隔転移は胸部x線検査、腫瘍シンチグラフィー、骨シンチグラフィーなどがあります。




 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    
§9 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)のステージ(病期)
           -子宮体癌の病期図解-


子宮癌のステージは術前検査で診断したもの

と術後の病理検査の結果が異なる事があるた

め、術後病理検査で病期が決定されます。病

期で0期では子宮内膜増殖症(子宮内膜が過

剰に増殖する病気で異型を伴わなければ自然

消失します)は異型の強いタイプのものをさ

します。異型を伴うものは数年後に癌化する

ことがあります。


           -子宮体癌の病期例図解-


 (子宮内膜異型増殖症の全てが癌化するわ

けでは有りませんが1/4弱に間質に浸潤し

た癌細胞が発見されているという報告があり

ます。→癌化する可能性が高いという判断か

ら前癌状態とされています。)子宮体癌は血

液の豊富な子宮内膜に出来るため子宮内膜異

型増殖症の段階で不正.出血が確認される

ため、出血が起きてから受診しても治療が間

に合うと考えられています。







    子宮体癌は0期からW期までの段階に分類されておりますが、0期の場合は子宮内膜異型増殖症という前癌状態です。

    子宮内膜で異型を伴わなければ増殖した内膜は、自然に消失してゆきます。また、子宮内膜異型増殖症の全てが癌化

    するわけではなくその1/4弱に間質に浸潤した癌細胞を発見したという報告もあります。子宮体癌のT期は癌が子宮

    体部に留まった状態です。T期は更にTa.Tb.Tcに分類されております。5年生存率もT期であれば比較的高率です。



 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    
§9−1 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)病期例/表


0期 子宮内膜異型増殖症 5年生存率

T期 癌は子宮大部に限局している ±85%→92%
 Ta期 子宮内膜に限局している
 Tb期 浸潤が子宮筋層に1/2以内に留まる
 Tc期 浸潤が子宮筋層の1/2を越える

U期 癌が子宮体部〜子宮頸部に及ぶ ±60%→78%
 Ua期 頸管腺のみを侵すもの
 Ub期 頸部間質浸潤がある

V期 癌が子宮外に広がるが、小骨盤腔を越えないor所属リンパ節転移がある ±50%→59%
 Va期 漿膜and or・付属器を侵すand or・腹腔細胞診陽性のもの
 Vb期 膣転移を認める
 Vc期 骨盤リンパ節and or・傍大動脈リンパ節転移を認める

W期 癌が小骨盤腔を越えるor破棄らかに膀胱又は超粘膜を侵す ±20%→19%
 Wa期 膀胱and or超粘膜浸潤のあるもの
 Wb期 腹腔内and or鼠径リンパ節転移を含む遠隔転移を認める





 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)



    
§9−2 TNM分類/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


TNM  FIGO
T 原発腫瘍
Tx 原発腫瘍の評価が不可能
T0 原発腫瘍を認めない
Tis 0期 上皮内癌(浸潤前癌)
T1 T期 子宮体部に限局する腫瘍
 T1a TA期 子宮内膜に限局する腫瘍
 T1b TB期 子宮筋層の1/2以内に浸潤する腫瘍
 T1c TC期 子宮筋層の1/2を超えて浸潤する腫瘍
T2 U期 子宮頸部に浸潤するが、子宮を超えて進展しない腫瘍
 T2a UA期 頸管腺のみへの浸潤
 T2b UB期 頸部間質に浸潤
 T3and/orN1 V期 T3a.T3b.N1ならびに下記に特定するFIGOVA期、VB期、VC期の局所、及び/又は所属リンパ節への広がり。
 T3a VA期 漿膜、及び/又は付属器に浸潤する腫瘍(直接浸潤又は転移)、及び/又は腹水又は腹腔洗浄液に癌細胞を認める腫瘍
 T3b VB期 膣に浸潤(直接進展又は転移)
 N1 VC期 骨盤リンパ節、及び/又は傍大動脈リンパ節への転移
T4 WA期 膀胱粘膜、及び/又は腸管粘膜に浸潤する腫瘍
注;胞状浮腫はT4に分類するには充分な証拠ではない。
M1 WB期 遠隔転移(膣、骨盤漿膜、付属器への転移は除くが、傍大動脈リンパ節、及び/又は鼠径リンパ節以外の腹腔ないリンパ節への転移)
N 所属リンパ節
Nx 所属リンパ節の評価が不可能
N0 所属リンパ節転移なし
N1 所属リンパ節転移あり
所属リンパ節とは閉鎖リンパ節、内腸骨リンパ節、外腸骨リンパ節、鼠径上リンパ節、総腸骨リンパ節、仙骨リンパ節、基靭帯リンパ節及び傍大動脈リンパ節の事を指します。
M 遠隔転移
Mx 遠隔転移の評価が不可能
M0 遠隔転移なし
M1 遠隔転移あり
                                                             by UICC





    
§10 その他の分類/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    
§10−1 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)の組織学的分類(全ての類内膜腺癌は腺癌成分の形態により

     Grade1〜3に分類されます)


組織型 頻度(%)
類内腺癌 80
 類内膜腺癌 (60)
 扁平上皮への分化を伴う類内膜腺癌 (20)
漿液.癌 10
明細胞腺癌 1〜5
粘液.癌 <1
扁平上皮癌 0.1
混合癌 <1
分化 <1

    * 乳頭状漿液.癌は内膜癌の3〜4%を占める程度ですが、予後は極めて悪いです。




 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    §10−2 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)の分化型分類


Grade1(高分化型) 充実性増殖(扁平上皮成分を除く)の占める割合が腺癌成分の5%以下のもの

Grade2(中分化型) 充実性増殖(扁平上皮成分を除く)の占める割合が腺癌成分6〜50%のもの、or充実性増殖(扁平上皮成分を除く)の占める割合が腺癌成分の5%以下のものでも細胞異型の著しく強いもの

Grade3(低分化型) 充実性増殖(扁平上皮成分を除く)の占める割合が50%を超えるもの、or充実性増殖(扁平上皮成分を除く)の占める割合が腺癌成分6〜50%のものでも細胞異型の著しく強いもの


    [ 子宮体癌の分化度は予後、プロゲステロン反応性とよく相関します(深い関係があります)。G1の腺癌は一般的に

    予後が良く、限局的、プロゲステロンによく反応します。G3は多くが予後不良で、浸潤性発育を示し、プロゲステロン

    反応性は低い。他の組織型の子宮体癌は悪性度が高く、G2〜G3の類内膜腺癌と同様である事が多い。]




                                       子宮体癌の病期例(図解)も御参考にご覧下さい。






§11 子宮体癌(子宮体ガン)の療法


子宮体癌は放射線療法では高い効果は期待できませ

んがV期W期と進行しますと手術だけでは治す事

が困難で放射線療法や化学療法ホルモン療法など

と併用した療法を採用する事があります。T期U期

での放射線療法は再発の可能性が高いと予想される

場合、手術後の補助療法として採用されることがあ

ります。若年者の子宮体癌でGrade1Ta期の場合

は全面掻爬と黄体ホルモン療法を考慮選択できます

。(妊孕性温存療法)






 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)



    
§11−1 化学療法/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌での化学療法は遠隔転移がある場合、手術療法後や放射線療法後に再発した場合、手術後の再発を予防

    するための術後化学療法(術後補助療法)、手術療法や放射線療法の前、進行癌に対する放射線療法との併用など

    でもちいられます。子宮体癌ではAP療法などの多剤併用療法で用いられます。



    * 
多剤併用療法などの例/ドキソルビシンシスプラチンパクリタキセルカルボプラチン、プロゲステロン製剤、

    シクロホスファミドドキソルビシン+シスプラチン、タモキシフェン









    
§11−2 ホルモン療法/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌が更年期以降に増加するのは閉経後も脂肪組織でアロマターゼの影響下でエストロゲンが作られ、プロゲス

    テロンが作られないことによるという事でした。それは即ち、子宮体癌のホルモン療法は女性ホルモン(エストロ

    ゲン)の影響を受けるものについてプロゲステロンを投与すればバランスが取れる理屈になります。子宮体癌の

    ホルモン療法では酢酸メドロキシプロゲステロンを長期に亘って投与します。プロゲステロンはプロゲステロン

    受容体を介してエストロゲン拮抗作用により子宮体癌に悪影響を抑える働きをします。ホルモン療法は早期子宮体癌

    や再発の危険のあるV期、W期のもの(手術後の補助療法or化学療法との併用療法or手術できないケースに対応する

    療法or再発対応療法or全身状態が悪く化学療法が出来ないケースへの対応療法として)などが対象ですが、早期

    子宮体癌の場合は異型内膜増殖症、高分化型体癌Ta期で妊娠を強く希望される患者さんに妊娠の機会を奪わない

    事を優先させる意味から行いますが、その場合も定期的に検査を受ける事が可能である場合に限り、麻酔した上

    での子宮内膜掻爬と組み合わせて実施するという事の様です。そして3〜4ヶ月後にホルモン療法による効果の

    判断をして、効果が得られないようならば手術療法を選択する事になります。ムーンフェース、肥満、むくみ、

    口渇、発疹、痒み、肝機能異常、血栓(心筋梗塞、脳梗塞、肺塞栓禁忌)などの副作用があります。血栓症、動脈

    硬化、心臓病にもリスクのチェックが必要ですし、プロゲステロン、エストロゲンを服用している場合もホルモン

    療法は受ける事が出来ず、術後一ヶ月以内の人、喫煙該当者、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満の方も出来るだけ

    ホルモン療法を避けたい該当者です。




 home(癌&癌のキーワード)>menu>
子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)



    
§11−3 手術療法/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    
子宮体癌は子宮頸癌の比べると卵巣転移の頻度が高いため下図に示しますように両側の付属器を摘出します。

    (転移の確率はT期でも5〜10%あります。)然しながら、若年者で卵巣温存にあります。頸部浸潤があれば

    頸癌同様に広汎子宮摘出術を行い、頸部浸潤が無ければ準広汎子宮摘出術を行います。筋層浸潤の強いT期

    G2G3UV期では骨盤内リンパ節と傍大動脈リンパ節の郭清を行います。子宮体癌では傍大動脈リンパ節は

    一次リンパ節であり、ここに転移しているかどうかは確実に診断されなければなりませんが、ここに転移を認めると

    いう事は予後が不良であり、治療的な意義に関しては明確ではなく、今後の状況の変化によっては変遷する事も無い

    とはいえ無いかも知れません。


         -子宮体癌/摘出術例-


子宮体癌の手術療法の後は局所再発、遠隔転

移の早期発見のためにも退院後の検診が極め

て重要です。手術直後は頻繁な検診が必要で

、医師の指示に従って検診を優先させなけれ

ばなりません。一例では術後3年間は2〜3

ヶ月のインターバルで、4〜5年までは6ヶ

月、それ以降が12ヶ月のインターバルとな

っておりました。


     子宮体癌既往の方の場合は6年以降でも再発の危険性が低くなってもゼロという事は無く一般の人よりハイリスク

    という事を認識した検診や対策、心構えが必要です。退院後の検診は内診、膣細胞診、超音波検査、腫瘍マーカー

    などの血液検査、尿検査、x線検査、MRI検査、CT検査、骨シンチグラフィーPETCTなどが考えられます。





    子宮体癌は早期なら治りやすい癌とされ、子宮体ガン(子宮体癌)の5年生存率は上記表とは別なデータでもT期

    (92.5%or92%))、U期(88.5%or78%)、V期(70.2%or59%)、W期(16.7%or19%)となっております。

    (資料間格差があります)



 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)




    
§12 再発の治療/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌が最初に治療した際に、子宮内に留まっていた場合には治療後の再発は、し難いとされております。

    ですが、その様なケースでも、治療した部位の周辺に再発する事があり、この際に可能な場合は、手術で摘出し、

    化学療法や、放射線療法を施します。手術を行わずに、放射線療法だけで対応する場合もあります。腫瘍が大きく

    成長している場合(切除できず、遠隔転移、腹膜播腫を起こしている)などの場合には化学療法を行います。肺のみ

    に転移している場合で腫瘍は小さいのなら、手術を検討する事もあります。





    
§13 緩和療法/再発の治療/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌は骨盤などの骨に転移し易い特徴がありますが、骨に転移してしまいますと、強い痛みを感じます。癌が

    大きく成長すれば、骨盤内の臓器や膣から出血する事もあります。この様な症状を抑える事を目的として、再発部

    位に放射線を照射します。








    
§14 子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)の術後障害


    
§14−1 排泄障害/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    子宮体癌で広汎子宮全摘術を受けた方は退院後に起こり易い症状として、リンパ浮腫、排尿障害、排便障害、卵巣

    欠落症状(疑似更年期障害)などが有りますが、子宮周囲をも広く切除するために骨盤神経叢がダメージを受けて、

    膀胱、直腸の働きに影響を与えます。そのため早期の障害として排尿、排便障害を起こします。放射線療法でも

    隣接する膀胱や直腸も影響を受け障害が重くなる傾向もあります。排尿、排便の訓練は入院中から始めます(下腹部

    の押し方、息み方の練習)が、その回復には様々な要因(手術方法、体質、骨盤底筋の強さ、個人差、年齢)で、

    早期に機能が回復する人もいますし、1〜2年続く人もおります。ケースによっては自己導尿の練習も必要になり

    ます。残尿が解消されないと尿道経由で細菌感染し膀胱炎を起こす事や、尿漏れ、腎盂腎炎、水腎症になるケース

    さえあります。異常を感ずるようであれば速めに担当医に相談する必要があります。骨盤底筋を鍛える体操や膀胱

    や尿道の緊張を緩和する薬もあります。機能回復訓練は時間が必要です。便通は食物繊維を摂る、寝起きに水を

    飲む、適度な運動で超に刺激を与える、定期的な排便周期を得られるように心がける、その他便秘薬や下痢気味の

    人は整腸剤などの薬の服用も考慮検討することも考えます。






    
§14−2 リンパ浮腫/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    癌の転移を予防するためにリンパ腫を郭清する事が多々有りますがそのために、心臓に戻るリンパ液の流れが悪く

    なって下肢になどに溜まるのがリンパ浮腫です。組織の隙間に蛋白質、水分が貯留り、循環が悪くなりむくみます。

    リンパ浮腫は太ももの付け根が重く感ずる、歩き難い、.部が腫れるなどの症状があり、初期は指で押すとへこみ

    ますが進行するとへこまなくなります。子宮癌の治療後にリンパ浮腫を確認する人は約半数あり非常に多い症状です。

    リンパ浮腫は郭清する位置によりむくむ部位も異なります。リンパ浮腫でむくんでいる部位を怪我した場合はリンパ節

    を郭清しているために細菌に対する抵抗力が落ちているので蜂窩織炎という高熱、皮膚の発赤などを伴った合併症を

    起こします。(黄色ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌などが原因の細菌感染で通常は抗生物質を投与)また、リンパ浮腫

    のために慢性的な炎症を罹患し易く、重度なら脚が太くなり、下肢の皮下組織が線維化し皮膚が硬くなる、靴の

    サイズも左右で変わるなども起こりえます。一端浮腫を起こしますと、簡単には治り難く、専門家の指導に従った

    普段の予防(水中運動、プールウォーキング、リンパドレナージ/リンパマッサージ→皮膚に刺激を与えないで体液を

    流す、など)にも心がけます。日常生活では就寝時、両脚を膝を痛めないように注意して枕一つ分くらい高くして

    寝る、正座はやめる、たちっ放しの姿勢を避ける、弾性ストッキングの着用なども心がけます。



 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)



    
§14−3 卵巣欠落症状/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    
卵巣を二つとも切除しますと更年期に類似した症状(卵巣欠落症状)が発現します。更年期症状は卵巣から分泌

    されているエストロゲンが、閉経で急激に減少する事によって現れる症状でホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)

    や発汗、めまい、動悸、イライラ、不眠、鬱、皮膚の痒み、頭痛、疲れ易いなどの自覚があります。卵巣欠落症状は

    年齢に関係なく同様の強い症状が発現します。

治療は分泌されなくなったエストロゲンを補充す

るホルモン補充療法が採用される事もあります。

ホルモン補充療法は以前乳癌の発症リスクを高め

るとして中止された事がありましたがこの被験者

が肥満の人が多かったとして、その問題を指摘す

る向きもあります。漢方薬も用いられることがあ

ります。漢方薬には即効性は有りませんが体質を

改善し、穏やかに不快な症状を軽減させる効果が

あると、経験的に認められている向きもあります

。子宮、卵巣を失った事から受ける精神面でのケ

アでは抗鬱剤やカウンセリングなどもあります。

家族の思いやり、いたわり、ケア、理解、協力もとても大切です。深い思いやり、理解、協力は当事者の精神面で

大きな力になります。






    
§14−4 セ ス/子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)


    術後一ヶ月以上経過すればセ スは可能とされていますが、膣の上部を切除して膣が短くなっていたり、膣が硬く

    なっている、潤いがなくなっているなど大きな変化や、特に女性の性の象徴である子宮、卵巣を失ってしまったと

    いう精神的なダメージを受けていたり、不安、恐れからを拒否する方もあります。時間も理解も多く求め

    られる場合もあります。勿論無理は禁物です。膣は本来柔らかい組織で、切除により、短くなってもペニスの挿入

    により伸びて自然にもとの機能を取り戻せるものです。潤いが不足するのなら、市販のゼリーを使ったり、コンド

    ームの利用、など工夫も色々できます。パートナーの理解と協力、思いやりであせらず、時間を充分かけて、少し

    ずつでも前進できると良いですね。なかなかうまく前進できなければ患者の会やインターネットや方法が沢山有り

    ますので、積極的に利用しましょう。





 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)






    * 帯下(たいげ)/女性.からの分泌物で、帯下の異常により感じる不快感を帯下感といいます。帯下の自覚には

    個人差があり、実際の帯下の量と症状は必ずしも一致しない。生理的には排卵時、妊娠時、.時は増加し

    ます。.帯下、膣帯下、子宮帯下などに分類されます。初期は水溶性、漿液性で、癌が進行すると血性、肉汁様

    になり、感染を伴うと膿性になります。子宮内に貯留すると子宮が嚢腫状に膨らみ、子宮留膿症という状態になり

    ますから帯下は見逃さないようにしなければなりません。




    * 
シンプソン徴候/子宮体癌は早期では痛みが無い事が多いが、進行期には血性、膿性の浸出液が子宮腔内に貯留

    します。この貯留液を子宮腔外に排出しようと子宮が収縮する際に陣痛様の疝痛(下腹痛)を起こしますがこれを

    シンプソン徴候といいます。(癌により子宮内に膿などの分泌物がたまるので、それを排出するために起きるものです。)




    * 
子宮体癌高リスク群

    
過去に妊娠、出産の経験がないor少ない、30歳以降の月経不順、無排卵の人、更年期以降の人、未婚、不 妊、

    初妊年齢が高い、エストロゲン長期投与、肥満(アロマターゼリスク)、糖尿病(耐糖能異常、二次的内分泌環境

    変化)、高血圧(耐糖能異常、二次的内分泌環境変化)、PCOS(多膿胞性卵巣症候群;異常分泌されたアンドロ

    ゲンが末梢でエストロゲンに変換、顆粒膜細胞腫;莢膜細胞腫(子宮体癌は重複癌の発生頻度が高い)







      * ご覧になりたい項目の金色ボタンをクリックして下さい。ご希望のページへジャンプします。

頭頸部 脳腫瘍 上顎洞癌 舌癌 咽頭癌
喉頭癌 甲状腺癌 食道癌
胸部 肺癌 乳癌 縦隔腫瘍
腹部  胃癌 肝癌 胆嚢癌 胆管癌
膵癌 腎癌 膀胱癌 大腸癌
. .癌 膣癌 子宮頸癌 子宮体癌
子宮肉腫 卵巣癌 卵管癌 絨毛癌
前立腺癌 .腫瘍
全身性 神経芽腫 骨腫瘍 皮膚癌 多発性骨髄腫
急性白血病 慢性リンパ性白血病 悪性リンパ腫
成人T細胞白血病 慢性骨髄性白血病
その他 抗癌剤 転移・再発 疼痛緩和ケア ターミナルケア
腫瘍マーカー
















 home(癌&癌のキーワード)>menu>子宮体癌(子宮体ガン・子宮体がん)
-癌&癌のキーワード-
(C)allright reserved